ある日、いつものように夜寝てたら
クスクスと言う女の笑い声が聞こえてきたの。

テレビも消してたし、
マンションの隣の住人が女だったから
電話でもしてるのかな程度で
眠いし、夢うつつだったんだが、
この殺すような小さな笑い声がずっと続くのね。

しだいに頭も覚醒してきて、
ただ目をつむっているだけの状態になったんだけど、
ここでようやく声が
自分の部屋から聞こえてくる事に気づいたんだ。

「え?なんで?」

と思って目を開てみたんだが、
えぇ、そこにありえない存在が居ましたよ。

俺の住んでるマンションの部屋は
普通のロフトがあってそこに荷物おいてるんだけど、
ちょうど床に布団敷いて寝ると、
俺の目線がロフトの先端になるのね。

そんでそのロフトから若い女が顔半分、
鼻の下あたりくらいまでを出して、
俺を見下ろしてるの。

完全に俺と目線が合うと、
またその女はまた

「クスクス」

と小さく笑いだした。

「は?泥棒?
でもロフトは荷物だらけで
人は入れないはず??」

寝起きで頭がうまく回らない状態の俺は
しばらくそのまま動けずにその女と見詰め合っていた。

「クスクス」

女は笑いながらながら顔をロフトの奥に引っ込めた。

が、すぐにまた顔を出してきた。

そして

「おおぉ~~~!?」

マジで俺は今までの人生で一番大きく叫んだ。

女の顔が伸びながら寝てる俺の方に向かってきた。

それはろくろ首というよりも顔の最下部、
口の下の顎の部分あたりから
ニュ~っと伸びてきてる感じだった。

俺は速効飛び起きて、
近くにあった少し長めのテレビのリモコンを握り締めると
もうすぐそこまで来ていたその女の顔めがけて振りぬいた。

その瞬間、女は煙のように
モワッなったように見えて、そして消えた。

んでこの時テーブルに置いてあった
空のコーラ缶が何故か倒れた。

その後はロフトを覗く勇気も無く、
その日は朝まで電気点けて起きた。

朝になったら会社に電話して半休貰って、
午前中に近くの寺に行って無理いって
坊さんに軽くお経唱えてもらい、
さらにお手製のお札も束と言えるくらい貰った。

家に帰ると早速坊さんに言われた通りに窓や玄関、
トイレや風呂の扉という扉にお札を貼り、
最後にロフトへお札を貼るべく、
ロフトに置いてあった荷物を全部降ろした。

今まで気付かなかったが、そこには少しだけ、
水溜りみたいな染みのようなものがあった。

すぐにロフトには5枚のお札を貼り、
今に至るまで何事も無く暮らしてます。

あの時は頭が回らなかったけど、
今にして思えば別段金縛りとかもなかったし、
普段よく怖い話系で聞く

「気絶して起きたら朝だった」

とかそんな気配もまったく無かった。

てかあの時そんな都合良い事は
俺にはそうそう無理に思えた。

まぁたしかに心臓は
発作起こすんじゃないかって
ヤバイくらい高鳴ってたけどね・・・

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