小さいころに体験した話。

何の変哲もない夏休みのある日、
父親が

「花火買ってきぞー」

って居間に登場して
俺ら子供らは大はしゃぎ。

ささやかな花火セットだったんだけど。

さっそく7人家族のうち
祖父と祖母以外の5人で
家の外でやることになったんだけど、
安全のため水辺の方へ10mくらい移動してた時、
向かいの家(以前住んでた古い自宅)の2本並んだガスボンベから、
俺たちの歩く速さに合わせて

「カーン、カーン」

って2回鳴った。

なんだろう?と思った俺は近寄って、
そばに生えてた蕗の葉っぱをなんとなくめくってみた。

なぜ自分でそうしたかはわからないんだけど。
そしたらその葉っぱの向こうに
だるまさんのような目だけがこっちを見てた。

俺と目が合うわけでもないし、
だるまって言っても
おもちゃのようなクリクリッとした感じで。
怖いような、不思議な感じだったんだけど、
余計なこと言って花火が中止になるのも嫌だったんで
そのまま何も言わずに、無事花火は終了。

そしてその次の晩も父親が

「花火買ってきたぞー」

って同じように登場したの。

やったー!すげー!って言って
またみんなで外に出て、
昨日の場所へ移動してたとき、
ガスボンベのこと気にしながら歩いてたんだけど、
今日は鳴らない。

それで

「今日は音しないね」

って何気なく母親に言ったら、

「なにが?」

って聞き返してくる。

んで俺が

「昨日花火やったときは
カーン、カーンって鳴ったの」

って答えたら、

「え、何言ってんの?
昨日花火なんてやってないじゃん」

って言われた。

ええっ!?とかまたまたー、
って思ったんだけど
深く考えずに花火を楽しんだ。

っていう昔から楽天的な俺の話。

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