当時、小学生だった私は
明日に学校があることもあり
いつものように就寝しました。

そのとき夢を見ました。

夢の内容は特に変わっているものでもありません。

夢の最後のほうでは
自分が海上スレスレのところを
猛スピードで飛んでいました。

そんな場面のところで
だんだん意識が現実に引き戻されていき
目を開けました。

確かに目を開けたはずでした。

しかし、
視界に写ってくるはずの実家の天井や布団が見えない。

私の視界には夢の場面がまだ続いており
猛スピードで海上を飛んでいました。

最初はまだ夢を見ているのかと思いましたが、
すぐにおかしいことに気づきました。

自分が布団に横たわっている感覚があったのです。

手を動かしてみると布団や枕、
毛布の手触りまで分かりました。

さらに耳を澄ますと
母親が朝食の準備をしている
聞きなれた音まで聞こえました。

確かに起きているのに
視界は夢のまま続いている…。

この事実に気がつき
私は気味が悪くなりました。

早く元の視界に戻りたくて
瞬きをしたり
布団の上でゴロゴロしてみましたが、
それでも視界が治らない。

ここまで来ると本当に怖くなって
少々パニックになりました。

親に助けを求めようと
声を上げたかったのですが
パニックのためかうまく声が出ない。

とにかく誰でもいいから助けてほしかった私は
おっかなびっくり立ち上がりました。

布団を踏んで立っている感覚はあるのに、
今だに海上を飛んでいる景色しか見えない。

母親のところまで歩いて行きたくても
どこに迎えばいいか分からず
立ち上がったものの進めずに
途方にくれてしまいました。

だんだん気持ち悪くなって、
頭も痛くなってきました。

もう訳が分からなくなってしまった私は
何を思ったか目をぎゅっと閉じると、
強い力で瞼を掻きむしりました。

その行動がよかったのか、
目を閉じた状態でも見えていた

夢の景色がだんだん歪んでぼやけていき、
やがて完全に消えてなくなりました。

恐る恐る目を開けてみると
いつもと変わらない寝室が見えました。

自分の目が正常に戻ったことが分かり
一気に力が抜けてしまいました。

こんな状態になったのはその一回きりでした。

あれは一体何だったか分かりません。

皆さんは目を開けても
視界が夢のままだった時ってありますか?

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