俺がまだ小学生の頃、
4家族(20人程)で河原へキャンプをしにいった

真夏とは言え
河原遊びしてれば涼しくなり、
バーベキューやら何やらして楽しく過ごし
すっかり暗くなった。

夏の夜と言えば恒例の怪談が始まり、
大人も子供も混じって笑ったり怖がったり、
小学生の俺は肝冷やしまくりながら話を聞いていた

夜もふけて来た頃、
今までニコニコしながら聞いていたUさんが
ぽつりと話始めた

Uさん「怖いけど考えさせられる話、
タイトルはそうだね~[言葉の力]ってところかなぁ」

ある中学にクラスのリーダー格の苛めっ子Aと
目立たない苛められっ子Bってのが居た

オタク気持ち悪いと言うだけでAの標的になったB。

最初はAと仲の良い数人での小学生並のイタズラ

消しゴムちぎって投げたり
上履き隠したりする程度だった

ある日、
A達の苛めにキレたBがAを殴った

しかしこれがマズかった。

よろけたAが女子にぶつかり転けた。

Aと女子の二人共手の骨を骨折

この件からBは完全に孤立。

イジメはヒートアップしていく

地獄の日々が始まった。

肉体的にも精神的にも
暴力、恐喝ありとあらゆるイジメを受けた。

Bは人間の一番醜い部分を見た

Bは次第にやつれていく。

と言うより生気が抜けてきていた

半月程たったある日の授業中、
いつものごとく後ろから何か飛んできたり、
机の下から蹴られたりしていた

Bは突然立ち上がり奇声を上げこう言った

「貴様等呪ってやるぅうぅぅヴ〇〆》~´;〇〃!!!」

とそのまま教室から出て行った。

クラス内は爆笑

誰もBの言葉をまともに受け止め無かった

しかしその夜から異変が起こった

Aは夢を見た。

無数に道がある、
その道を進む先が繋がって広場のようになってる

そこに見覚えのある誰かがたっている

そこで目が覚めた。

Aは変な夢、程度に考えてたが
きにしなかった

いつもの学校。

違うのはBが来てない位だった

休み時間にクラスの数人が集まって
夢の話をしているのが聞こえてくる

「いっぱい道があって
広場に誰か立ってるだけなんだよね~」

Aはちょっとビックリした。

話を聞くとクラスで数人同じ夢を見たらしい

なんだか気持ち悪いね~とか、
俺達繋がってる?とか軽い気持ちで居た

Aはその日も夢を見た。

昨日と同じ夢。

いやちょっと違う。

広場に立ってる「誰か」がBだったのが解る

起きたAはなんだか気持ち悪いなぁと学校へ行った

そして学校で夢の話をすると、
同じ夢をみた人が居る。

しかも昨日より増えてる

変だ。

クラス中でも話題になり始め
「Bの呪いだ」と言い始める奴も出始めた

Aは

「んなわけねぇよ
Bなら夢の中だろうとボコボコにしてやんよww」

と余裕ぶってみた

しかし一週間経って
クラスの半数が同じ夢を見るようになった

夢の中のBは徐々に近くに来ている

流石に気持ち悪くなったAは
数人の有志と共にBの自宅へ電話した

電話に出たのはBの母親だった

A「Aと申しますが、
B君最近学校来てないですけど
具合でも悪いんですか?」

取り巻きが後ろでクスクス笑ってる

B母「あぁ、あなたがA君。
Bが仲良くして貰ってる見たいでありがとうね、
あなたの話題ばかりよ。
あなたなら言ってもいいかしら」

A「えっ?何かあったんですか?」

気持ち悪かった

Bは親に何と言っていたのか気になったが
話を聞いた

どうも一週間前から帰ってきてないらしく、
捜索願いも出しているが見つからない

学校の友達に心配させないように
行方不明なのを学校には伏せて貰っている
という事だ

電話をかけた夜。

Aは夢を見た

遂にBが目の前に居る。

何時もならこの辺で目が覚めるはずだったが
様子が違う

夢の中のBはゆっくりAの首に手をかける。

ギリギリ首が締まり苦しくなってくる

夢の中なのに苦しい、体は動かない

夢なら覚めろ夢なら覚めろ夢なら覚めろ夢なら…

意識が無くなった所で目が覚めた

異常な夢と寝汗にビビったが

「夢か」

と安心した

顔を洗いに洗面所へ行こうとした時、
母親が変な事を言う

「首…あざ?」

血の気か引くのが解る。

鏡で確認するとうっすら首にアザがある

胃からこみ上げる物を感じたが
朝飯を詰め込み学校へ

学校へ着きホームルームが終わると、
全校集会が有るという事だった

集会の内容は
Bが近くの山で自殺しているのが見つかった。

集会も終わりクラスに戻ると
Bの話題で持ちきりに

ただ泣いてる奴、謝る奴、笑う奴

Aがボソッと夢の話をした

「俺、夢の中でBに首絞められた。みんなは?」

Bを直接苛めた数人だけが首を絞められた人が居て
他の人の夢は有り得ない程首をガクガクさせ
涙涎鼻水を垂れ流しながら笑うBが居たという物だった

遂にクラスは
阿鼻叫喚と表現出来る状態になった

先生が今日はBの葬式が有るので帰って準備をしなさい
Bの親からクラスのみんなに来てほしいとの事

そして夕方みんなで集まり
誰もがビビっていた。

夢の話、遺書があって
そこに名前がかかれてて
それを読んだBの親に何かされるのではないか

そんな話をひそひそしながら葬式会場へ

葬式会場でBの親は
憔悴しきっている様子だった

Bの親は来てくれてありがとうねと
涙を流しながら一人一人クラスの人に言って回っていた

正直Aは拍子抜けしていた。

しかし何かおかしい

たまに小さくビクッとなる奴や
ヒッと声を出す奴がいる

Aの前にBの親が来た。

泣きながらありがとうと感謝の言葉

隣の奴に移る瞬間
B親と目があった。

「見つけた」

囁きが聞こえた。

血の気が引きビクッと反応する。

焦るとかそんなレベルじゃない

しかしその後何もなくは普通に葬儀が進み、
喪主の挨拶に

B親「皆さん来ていただいてありがとう御座います。
Bもよろこ……」

ここで語り部のUさんが話を止め
集まってる家族の後ろに目線が移り

「あ」

と一言、
全員がUさんの目線を追う。

振り返った人たちから
「ヒッ」と声が漏れた所で

パシーン!……

Uさんの方から綺麗に手を叩く音

U「話はここでおしまい」

拍子抜けだったが
Uさんは続けてこう言った

U「どうだった?
俺の「あ」っていう一文字の言葉で
みんなが振り返って体をビックリさせたりする事が出来た。
これが言葉の力だよ。
まぁ色々前提が有ったから出来たけど
みんなも「言葉」は気を付けて使ってね」

と子ども達を諭すように言った

話が終わり、

Uさん「はい拍手~wwww」

場の空気がふと明るくなった

そして解散、就寝。

でも一つ気になることがあった。

解散した後
Uさんの表情が一瞬暗くなったというか
目が笑ってないと言うか…

俺の聞いた怖い話で一番印象に残った話でした

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