ちょっと昔の思い出話をさせてくれ

当時は今よりずっと景気が良くて
俺の所属するチームも
会社に何日も泊まり込んでプレゼンの準備なんてことがよくあった

その日も残業で
俺はたまたまフロアに一人で寝袋で寝てた

夢を見ていた。

赤い着物の女の子が
俺と一緒に遊びたそうにしている

しきりと俺をどこかへ連れていこうとする

「まだ仕事が残ってるから一緒に行けないよ」

グイグイ引っ張るその子に向かって
俺は遊べないと告げた所でフッと目が覚めた

その瞬間両足を凄い力でつかまれて
体が30㎝ほど引きずられた

心臓が破れそうな程バクバクしていたが
そこまでが夢だろうと思って
それほど気にはしなかった

しばらくたったある日、
外階段の踊り場で営業のF女史と世間話をしてた時
上司のKさんが階段から降りてくるのが見えた

ところがKさんを見た瞬間、
Fさんが「ヒイッ」と叫んで
逃げるようにその場を離れた。

社内ではFさんは
「見える人」として有名だったので
俺はガクブル震えるFさんの背中に

「何が見えたんですか?」

と話しかけた

「Kさんの後ろから
赤い着物を着た女の子が降りてきた」のだという

Fさんが恐怖したのは
「その女の子の首から上が無かった」から

取り憑かれているKさんも
その周りにいる人もヤバイと言われた

その話を聞いて俺は先日、
夢に見た女の子を思い出していた

あの時、
あの子に誘われるままついていったら
どうなってたんだろう?

そんなバタついた年も明け、
落ち着いた所で健康診断を受けた

俺は不整脈でひっかかって再検査を受けるハメに

結果は

「就寝中に軽い心筋梗塞になった形跡が認められる」

と告げられた。

それを聞いて
俺はあの赤い着物の女の子に誘われるまま
ついて行かなくて良かったとつくづく思った

普段はどうやって仕事の手を抜こうかなんて事ばかり考えてるのになw

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