20年も前の話。

俺(当時小6)と弟の部屋には、スキー板とか鯉のぼりとか
普段使わない道具を仕舞ってある広めの押し入れ(?)があったんだ。

白熱電球も点くし普通なら小学生にとって絶好の秘密基地!になりそうなもんなんだが、
なんだか俺にはそこが異世界にでも繋がってるような薄気味悪い場所に感じられ、
よっぽどの用が無ければ入らないようにしてた。

で、ある晩。
俺と弟はいつも通り2段ベッドの上下にわかれて寝ていたんだが、
ふと目が覚めて気づくと、押し入れのドアノブが勝手にゆっくりまわり始めてるんだよ。

まるで俺たちに気づかれたくないみたいに、ゆっくりと。

それだけでもう泣きそうなくらいに怖かったんだが、
ノブが完全にまわりきって静かに開いた扉から
何かがこども部屋に半身を乗り出してきたんだ。

姿はなんて言うか、
「金色の光の粒子の集合体がおぼろに人の形にまとまっている」
みたいな感じ。

それがじーっとこっち見てる。

しばらく薄目開けて様子を見てたら、そいつが一瞬ためらった感じがあった。
 
「やばい!起きてるのがばれたかも!?」と思って俺は寝た振りをしてた。

で、しばらく膠着状態が続いた。

こっちに来る様子もないし、扉の閉まる音もしない。

で、もう俺の緊張が限界に達した頃、
そいつが意を決したように俺の布団の中に流れ込んできたんだ。

なんか、ニュールーンて具合に。肩口から。

「ひっ!」と思って、次どうされるんだろうと思って俺は身を固くしてた。
 
ただ「弟のところには行くな!」って強く念じた。

で、次にどうなったかというと、
いつまでたってもどうもならないので薄目を開けて横見たら、
そいつも思い切って飛び込んできたはいいが、
次にどうしていいか困ってる感じで俺の横でじっとしていた。

俺もそいつも布団の中、枕を並べとなりどうしで困ったままなんだよ。

まのぬけた、でも変に穏やかな時間が過ぎ、
何か悪いことされる気もしないのでそのまま気をつけの姿勢でそいつと添い寝してた。

それ以来出てこない。
 
あれは何?

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