母から聞いた前住んでいた家の話。

その家に住み始めてひとつき。

母が深夜におかしな音を聞き始めた。

夫は仕事、子供たちは自分の隣で寝ている。

それなのに、深夜2時をすぎると何処からか、
シャララ..シャララと乾いた音が聞こえる。

夜に調べるのは怖いから、昼間に探してはみたが、
音の正体は見つからなかった。

退屈な授業の合間にひとつ。

私の祖母は、
一般的に霊とか言われるものに敏感だった。

そう言うものは遺伝する、とよく聞くが、
例に漏れず私たち兄妹もそれを受け継いでいる様だ。

私はあまり覚えていないが、
母から前住んでいた家の話を聞いた。

私たち家族は、
住んでいたマンションが建て直されるので、
父の知人に借家を紹介してもらった。

築3年程で、
白い壁に青い屋根の袋小路に位置するその家は、
庭も広く当時私が通っていた幼稚園にも近かったので、
すぐにみんなが気に入った。

深夜の物音に慣れて来たある日、
母は息子たちを小学校へ、
娘を幼稚園へ送り出し、出掛けた。

買い物をし近所の友人たちとの会話に花を咲かせていたら、
気が付けば15時を過ぎている。

急いで帰宅すると、
まだ、誰ひとりとして家にはいなかった。

子供たちが帰ってくる前に掃除を済ませておこう。

そう思った母は、2階に向かう。

だが、2階行くと掃除どころではなかった。

2階の障子全てが破かれている!
(補足だが、うちの障子は3x6くらいの
小さい長方形がたくさん並んでいるタイプだ。
その1マス1マス全てに5つの小さな穴が空いていた)

驚いた母は、
盗難にあったものはないかを探した。

だが家は、荒らされるどころか、
何かが侵入した様子もない。

手の指の形あけられた穴に手をあててみると、
自分の指よりも随分と細い。

これは子供たちの悪戯だろうと思い、
母は子供たちの帰宅を待った。

「ただいまー」

息子たちが帰ってきた。

母はふたりを2階に連れていって問いただす。

けれど、ふたりは言う。

「俺達じゃない」

「だって俺達じゃ1番上までとどかないし」

確かに、ふたりはまだ小学校高学年で、
背伸びをしても1番上までは届かない。

「それにこの穴、俺の手より小さい」

下の方の息子が手をあてると、
穴は次男の指よりも細い。

それは長男でも同じだった。

「それに母ちゃん、
俺達が帰ってきたのは母ちゃんの後だろ?
俺達じゃ家にはいれない」

言われてはじめて気付く。

子供たちには鍵を持たせていなかった。

しばらくして、
他にも色々と不可解なことが起こり、
この家を引っ越すことになった。

相談してみたら、
この土地自体が私たちの血が合わなくて、
亡くなった人たちが助けを求めて集まるらしい。

袋小路だったことも原因して、
よくないものがそこに集まってしまった様だ。

最後の大掃除の時に、
自分たちは使っていなかった押し入れの天袋の掃除をした。

そこで前の人の忘れ物を見つける。

どうやら、おもちゃ箱のようだ。

片付けようと持ち上げると、
母が毎晩聞いていた

シャララ..と言う小さな積み木のぶつかる音が響いた。

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