道路標識の中でひし形の四角に
ビックリマークがついているのがある。

「その他の危険」

青山墓地沿いの道路にはこの標識が立っている。

理由は幽霊が出るから。

青山墓地は出る、
って有名なのはみんな知ってると思う。

昔、所ジョージが
青山墓地からラジオをやったら
放送の方には女の呻き声が入ってたなんて話もある。

タクシーが誰もいない所で止まって、
その後猛スピードで走り出す。
という事があの辺ではよく起こるらしい。

さて、Yの話である。

Yはその日、
青山の友人の家へ遊びに行っていた。

その日はそのまま泊まるつもりだったのだが、
ちょっとした事で口論になり家を出てしまった。

外は肌寒く、
12時過ぎで電車も無い。

どうしたものかな。
と、考えていた時、
後ろから車の気配を感じ、
振り返ると丁度タクシーが走ってくる。

ラッキーと思ったYは手を上げて待った。

が、タクシーはYの50m手前の何もない場所で止まり、
ドアを開けたかと思うといきなり閉め
物凄いスピードで走り出し
Yを追い越していってしまった。

なんなんだよ?
と、思ったその時、
ふと青山のタクシーの話をYは思い出した。

意識した途端に、
さっきまで肌寒かった外気が
急にジメジメと蒸すように感じた。

泥臭いというか、沼臭いというか、
なにか土のような匂いが鼻をつく。

足音こそ聞こえないもののナニカの気配が
背後をついてきているような気がする。

振り返って確かめ、
なにもいなければそれまでなのだが、
どうにも怖くて振り返れない。

そのまましばらく歩いて
曲がり角に差し掛かる。

その際、
ついにYは角を曲がるのと同時に
後ろを確かめてやろうと決意した。

角を曲がり、
くっと首を背後に向けてみる。

が、なにもいない。

よかった。

そう思って、
前を向こうとしたとき、
曲がり角にあるカーブミラーに
長い髪の女が写り込んだのを見て
Yは走って逃げた。

その話をYから聞いた時、
Yの家には鏡や硝子という反射するもの全てに布がかけてあり、
かなり異様な状態だった。

その女をYは連れ帰ってしまったらしい。

飯を作ろうと流しに立ったとき
シンクに映る自分のぼんやりとした肌色が
やけに膨れている事に気が付いた。

まるで、肩の辺りにもう一個顔があるみたいな…。

それに気が付いてからは反射するもの全てに布をかけ、
なるべく見ないようにしてるのだという。

その話を聞いてからというもの、
Yはノイローゼのようになり。
大声でわめいたり、暴れたり、奇行が目立つようになり、
それから半年もしないうちに首を吊って死んでしまった。


この話にはオチがある。

Yは東京に出てくるとき勘当同然で家を出てきたらしく、
実家から来たYの父はYの遺体を墓に入れること認めなかった。

仕方なくYの親戚が
Yの遺体を墓に入れることになったんだが、

その墓、青山墓地らしい。

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事