舞台はある古いアパート

俺は兄貴と二人兄弟

俺は兄貴っ子で、
小学生の頃から兄貴についてまわって
遊んでもらっていた

その当時、
兄貴が仲良くしていた友達が
そのアパートに住んでいた

アパートは、確か13階建てで、
有名(?)デザイナーが建築したと言われるだけあって
古いながらも存在感を放っていた

兄貴の友人は4階にすんでいて、
俺と兄貴はよく家で遊ばせてもらった

共働きの友人の両親は
快く家を解放してくれたが
唯1つ

『最上階には行くな』

とだけ言われた

ここで、
そのアパートの構造について説明をする

アパートの各階廊下と部屋ドアは
外から見えるようになっている

いわゆる団地のアパートと同じだ

外から廊下を歩いている人、
部屋に入る人が見えるよな?

ただし、
13階つまり最上階のフロアは壁に覆われていて、
外からは見えないようになっている

わかる??

それほど重要ではない事項なんだけど

とにかく、13階は外からうかがえない

階段とエレベーターは1つだけで、
建物の中央にあった

その頃、
世間でオカルトが流行っていたこともあり、

『入ってはいけない13階』

というのは少年の心を捉えた

兄貴「なぁ友人、
最上階っちなにがあるん?」

友人「さぁ?しらん。
ただ行ったらいけんっち親に言われよんけん、
倉庫かなにかやねん?」

兄貴「…いってみようえ(みようよ)」

友人「ぜってぇやだ!
他の住人もおるけん親にバレるわ!」

しかし、
どうしても行きたいという兄貴に負け、
12階から様子を見るだけならということになった

兄貴「よっしゃ!いくぜ」

と、ここで友人が階段を登り始めた

兄貴「おい友人!12階やろ!
エレベーター使わんの?」

友人「いや…エレベーターは嫌やに」

兄貴「はぁ?いいやん」

友人「お前らだけで使ってもいいけん。
俺は階段で行く」

かなり疑問だったが、
俺と兄貴だけでエレベーターを使うことになった

思い返せばあのとき初めてエレベーターを使ったな…
今までなんで使ったことなかったのだんだ??

エレベーターが来た

そして、乗って分かった。

これは使いたくない。

エレベーターは
大人が四人しかのれないほど狭く、
中は真っ暗だったのだ

電気が切れたままにしてあった

かなり気味が悪い

しかし、
怖がるのも恥ずかしかったので、
兄弟二人強がりながら乗った

が、一歩踏み込んだ瞬間、
猛烈な臭いが鼻を刺した。

薬品系と生臭さが混ざったような臭いだった。

ドアがしまる

1~13まであるボタンの「12」を押すと

『ガタッ!!!』

と一度下に落ちた後に

『う゛ーん』

と上がっていった

今もアレほど揺れるエレベーターには乗ったことがない

灯りがないので、
途中真っ暗になる時間があり
とても怖かった

12階に到着するときも

『ガタッ!!!』

と大きく揺れた

12階で待っていた友人は笑いながら

友人「な?使いたくねぇやろ?」

と言っていた

友人「よし、こっから階段やな」

階段を進んでいき踊り場にでて、
曲がると、
13階の入り口が見える

13階の入り口は
ベニヤ板で封鎖されていた

何故か鳥肌がたった

細部まで見てみると、
ボンドの様なもので
スミまで目取りされていた

友人「こんな感じやけん、
13階の入口はエレベーターだけなんやろうな」

兄貴「何のための板なん…気味悪いわ」

しばらく、
その場で話していると
13階の方から

『コン…コン…』

明らかに音が聞こえた

しかし、
その音を聞いたのは俺だけだったようで、
話し込んでいる二人には聞こえていないようだった

俺は二人に伝えようとしたが、
当時小学一年生だったので
信じてもらえないだろうとも思った

ただ、この場からすぐにでも離れたかったので

俺「ねぇー、部屋に戻ってゲームの続きしようよ!!」

と駄々をこねて、
その場を立ち去ることに成功した

踊り場から12階に戻る際、

『ドン!!』

と音がしたのは、
全員気がついていただろう

ただその時は
誰もが気がつかないフリをしていた

その日はこれで終了

以下は兄貴から聞いた話

また別の日、
二人は遊んでいた。

開校記念日か何かで、
平日の朝からずっと二人でゲームをしていたらしい

兄貴「いいかげんあきてきたなぁ」

友人「たしかに。
他に呼んで外で遊ぶか?」

兄貴「いやぁいいや」

友人「13階のことなんやけどさ、
物置やねぇらしい」

友人「親に聞いてみたんやけど、
入居するときに管理人に
『13階は入居者立ち入り禁止』ち言われたらしい」

「まぁ雰囲気でなんか察したんかなぁ?
親は追及せんかったみたい」

兄貴「ふーん」

違うゲームで気をまぎらわすも、
もうどうにも暇で仕方がなくなった

暇は人に勇気を与える

二人は13階に入ることにした

兄貴「そういやさ、
エレベーターが13階に止まるの見たことあるん?」

友人「ある。
気になって降りてくる人見ようと思ったんやけど、
誰もおらんかった」

兄貴「まぁそれは、
別に不思議でもねぇけどな」

エレベーターが来たので、
乗り込む二人エレベーターは4-5-6-7階と

暗い-明るい-暗い…明るい…
を繰り返して上がっていく

そして12-13階

明るい…暗い………暗い

最上階は真っ暗だった

ドアが開いて
やっと着いたのだと分かった

それまでぼうっとしていた二人は
13階に足を踏み入れた

目もなれてきて、見回してみると、
ドアが2つあるので部屋数は2だと分かった

友人「この階だけ暗いのは、
壁に囲まれちょんけんか」

兄貴「いや、それもあるんやろうけど、
灯りつけてねぇけんやろ」

友人「あ、そうやわな」

友人&兄貴「www」

すると背後から

「ククククッ」

女性の笑い声が聞こえてきた

兄貴は"頭から血の気が引く"という体験を初めてした

振り返ると
全身真っ白い服を着た女の人が立っていた

体つきは細く、
髪は胸まで伸びていて、
口元は横に開いて

「クククク…フフッ」

と笑っていた

完全にヤバい…

兄貴「こ…こんにちはぁ」

ヒタヒタとこちらに近づいてくる女

友人と兄貴は
手を取り合いながら震えていた

「ねぇ…」

腹に力を入れてない声で

「ねぇ…私の部屋にこない…」

兄貴「へぁっ…ふぁ」

「たのしいのよォォ…」

友人「いえぇ…
い、いぃです!
まっまた今度で」

「こんどォ…?」

「フフフゥ」

兄貴「はひぃ…また今度で!」

兄貴が答え終わると女は、
がっ!と顔をあげ、
目を見開いて

「今度って…いつぅ…?
いつなのよォォオオオ!!!」

「イイヤァァアオオオ…ヴォォオアォオオ!!!!!!」

兄貴と友人は急いでエレベーターに逃げ込み、
『閉』をバンバンする

「ゥヴヴゥォォオ゙オ゙アォオオヴオオオ゛アォオオオオ!!!!」

奇声を上げて睨んでくる女の表情は怖すぎて
目を離したくても離れなかった

その後は急いでアパートから逃げ、
俺達兄弟の家に

友人はその日うちの泊まった

以上

この話は、
事が終わった数ヵ月後に俺に話してもらったのだが、
当時兄貴達は俺をいじめるのにはまっていて、

「最上階には全身に針の刺さった男がいる」

だとか

「しゃべる猫がいる」

等の嘘と共に吹き込まれたので
この話も当然嘘と思っていた

がしかし、
2年前に思い出話に花を咲かせていたところ、
兄貴が

兄貴「そういえば、
あの女の人なんやったんやろうなぁ」

とつぶやいていて、

「本当の話だったのかよ!!」

となりました

今もその建物はあるし、
ベニヤ板もそのまま

エレベーターは綺麗になってはいる

いったいあの建物はなんなのだろう…

いつの日か凸ってみたい

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