「なんか怖い話とか知らないすか」
百物語に向けてネタを探していた俺は、
飲み会でそう切り出してみた。
結構みんなノッてくれて、
中々の収穫があったのだが、
今回はその中でも特に印象に残った、
N先輩に聞いた話をしたいと思う。
N先輩は学生時代の夏休みに、
夜間警備のアルバイトをすることにしたそうだ。
配属されたのは古い製薬会社のビルで、
詰所に詰めるのとは別にベテランのOさんと二人でローテーションを組み、
日に二度、定期的にビルの巡回を行うこととなった。
アルバイトを始めてから1週間程経ち、
慣れて来たN先輩は一人、
深夜のビルの巡回に出向いた。
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