俺には学生時代
よしもり君と言う友達が居た。

彼とは特段仲が良かった訳では無いが
ある日教室で声を掛けられた。

「良かった!
誰に話し掛けても聞こえないみたいで困ってたんだ」

いきなり変な事を言う奴だと思って話を聞いてやると
数人でコックリさんをしている最中に
本物の妖怪が出現して
そいつに夢の中に閉じ込められたのだと言う。

何だかなぁ…

ありきたりの怪談だなと
適当に聞き流していると

「本当なんだよ!
もうみんな消されちゃって
僕しかここに居ないんだよ!
今も木にぶら下がってこっちを見て…」

そう言われて木のある窓を見やると
確かに木に何かが留まっている。

鳥か?

よくよく目を凝らすと
鳥には見えない。

黒い何か。

猿なのか虫なのか判然としない。

黒いのは1分位こちらを見つめていた。

するりと木を降りていった。

「うわああああこっちに来るなあああ」

よしもり君の絶叫が教室に響いた。

絶叫を俺以外の誰も気にしていない。

ここで呑気な俺も
ようやく事態の深刻さが飲み込めて来た。

どうしたんだよ?

あいつに誰か消されたのか?

何なんだよあいつは?

どうやって呼んだんだよ?

焦りながらよしもり君に問い質す。

よしもり君は半狂乱で話にならない。

教室の雰囲気が何だか冷たくなっていく。

その瞬間教室に居た俺と
よしもり君以外の全員が一斉に立ち上がり
無言で帰り支度を始めた。

生まれて始めて体験する
異様な雰囲気に圧倒され声が出ない。

次の瞬間、
俺も帰り支度を始めた。

「よしもり!全員で一緒に逃げるぞ」

そう言うと

「駄目なんだ!
僕等は教室から出られないんだよ!
あいつが来る!
置いてかないで!」

とよしもり君は叫んだ。

聞こえないフリをして
無言で帰り支度を続ける俺。

皆と一斉に後ろの扉から教室を出る。

直後に前の扉も開いて
あの黒いのが入って来たのを感じた。

怖くて直視は出来なかった。

学校から家まで走って逃げた。

そして翌日から1ヶ月間俺は引き籠った。

1ヶ月後、登校してよしもり君を探す。

どこにもよしもり君の席は無かった。

出席簿にもよしもり名前は無かった。

よしもり君の苗字は
何故か今でも思い出せない。

夢の中に閉じ込められるというのが
どういう意味だったのか。

あいつに捕まって消されると
どうなってしまうのか?

やはり存在自体が消えてしまうのか?

よしもり君はどうなってしまったのか?

何が起こったのか
どうすればいいのかも分からなかった。

ただ確実に言える事は
俺の居たクラスだけ何故か他クラスと比べて
7人も人数が少なかったという事。

いくら何でもクラス分けの時の人数調整するだろうし
7人少ないというのはおかしい。

他は30人クラスなのに
俺のクラスだけ23人。

よしもり君達は
7人でコックリさんやってたのかな?

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