高校の先生から聞いた話。

その先生は大学のころ
ワンゲル部(ワンダーフォーゲル部)に入っていて
けっこう本格的な登山をしていたそうです。

長期の休みになると必ず、
気の合う仲間と各地の山に行っていました。

その年の夏も、先生、Aさん、Bさん、Cさんと
どこかの山(名前忘れました)に登山に行きました。

山で一泊して次の日に
下山するという予定だったので、
日も落ちてきた頃にテントを張ることになりました。

寝袋に入り明かりを消して
雑談をしていると、Cが

「なんか音がしないか?」

と言うのだそうです。

話を止めて耳を澄ますと
ザッザッザッと人が歩くような音が聞こえてきます。

「登山の人が登ってきたんじゃないか?
俺たちの話し声が聞こえたのかも。」

とBが言いましたが、
辺りは真っ暗で明かりすらも見えません。

「いくら登山に慣れている人だって、
こんな真っ暗な中を明かりもなしに歩けるわけないだろ?」

と、そんな話をしていると、
その足音を先生たちのテントの周りを
ぐるぐると回りはじめました。

みんな寝袋から出て外の様子を伺いました。

5分経ってもその足音は
テントの周りをぐるぐると回っています。

度胸のあるAが怒って

「おい!誰だよそこにいるの!」

と叫ぶと、一瞬足音は止みましたが、
またすぐにぐるぐると回りはじめます。

しかもそれまではテントより
少し離れたところを回っていたのに、
テントのすぐ傍を回っているようです。

ザッザッザッという足音と一緒に、
テントの布が揺れはじめました。

みんなちょっとやばいかもと思いはじめたときに、
Aが足音が通ったところをパンチしました。

ドスっと音がして足音が止みました。

「誰かを殴った感触があった!
多分足のあたりだと思う。」

とAが言いました。

「もしかしたら、誰かが俺たちを怖がらせようとして
悪戯したのか…も!?」

Bが言い終わるか終わらないときに
それは起こりました。

Aがパンチをした辺りから、
テントを突き抜けて、
誰かがテントの中に入ってきたのです。

しかもそれは、
下半身から上は見えなかったそうです。

先生も仲間たちも
言葉にならない叫び声をあげました。

先生が震える手で必死に明かりを点けると、
その下半身はフッと消えてなくなりました。

その後はみんな一睡も出来ずに
一塊になり夜を明かしたそうです。

夜が明けてからテントの外に出てみると、
テントの周りに足跡と
テント(布)には沢山の手形が付いていたそうです。

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