大学新卒で東京のある出版社に勤めることになった
会社の寮は千葉県M市にあり
6畳の部屋が二つのトイレ、キッチン、バス共用の相部屋
オレは1年先輩のヒトと一緒になる
その先輩は基本的には良いヒトで
オレにも親切だったが女癖が悪いのが玉に瑕
とっかえひっかえの複数交際をしていた
俺が寮に入る前は(彼一人だったので)
よく女を連れ込んで同僚の顰蹙を買っていたそうだ
俺が入ってからは収まったものの、
実際は内緒で連れ込んでる事もたまにあった
(寮といってもアパートを会社が買い取って改築した物、
管理人等はいない)
「アイツいつか女でえらい目に会うぞ・・・」
週末の寮での飲み会でよく酒のつまみにされていた
そんな先輩にいよいよシャレにならない出来事が起こる
週末の或る日、
先に部屋に帰ったオレは風呂に入っていた
ドアが開く音が聞こえて誰かが入ってくる
湯船でくつろぎながら
オレはその先輩が帰ってきたのかと
曇りガラスに目をやった
しかし先輩ではなかった
髪の長い女のヒトが
スッと横切って行くのがハッキリと見えた
その時妙な胸騒ぎがしたのだが
「またか、しょうがないヒトだな・・・」
またいつものように女のヒトを連れ込んだのだ
そう思った
風呂から入ったオレは
隣の部屋にハッキリとヒトの気配を感じながらも
知らぬ振りを決め込んで布団に入った
オレはその夜
はじめての金縛りを経験することになる
疲れてたオレはすぐに眠ってしまった
明け方近くだったと思う
女のヒトのうめき声とも泣き声とも
区別のつかない異様な声で目を覚ます
(金縛りの状態だから
意識が目覚めただけで体は動かない)
その異様な声は初め聞きとれない
意味不明の音だったが
次第に「○○!」「○○!」
(先輩の名前)と聞き取れるようになる
オレは目を開けれなかった
恐怖よりも金縛りにパニくって
体を動かそうと必死だった
そのあとブラックアウトしたまま
朝になって(ホントに)目を覚ます
異様なほど寝汗をかいていた・・・
体が重たく起き上がるのが辛かったが、
すぐに隣の部屋をノックする為に起き上がる
「○○さん!います!?」
部屋から反応は無い
玄関を見ると靴はオレのだけで先輩のは無かった
もちろん女性の靴も・・・
『なんだ、先輩帰ってなかったのか?
それとも女のヒトともめて早く出て行ったのか・・』
オレは昨夜の金縛りは
単なる疲れがもたらした物だろうと納得しようとした
しかし風呂で曇りガラス越しに見た髪の長い女のヒトが
妙に頭から離れなかった
気になったので
昼過ぎに二階の先輩と同じ部署のヒトに話を聞きに行った
「え?○○なら気分が悪くなったって昨日昼頃帰ったぞ・・・」
オレは昨日女のヒトが入ってきたことや
金縛りになったことを話した
そのヒトは急に顔をしかめ
「お前聞いていなかったのか・・・
あいつの女の一人が自殺したらしいんだ・・・
オレも詳しくは知らないんだけどな、
それでアイツ最近ふさぎこんでいたろ?」
月曜日になっても先輩は寮に帰らなかった
とうとう無断欠勤が続いたので
会社側もその先輩の実家などに連絡を入れることになる
実家の方にも連絡が行っていなかった
行方不明である
親は警察に捜査願いを出したとのことだ
それから一ヶ月ぐらい経ってから
先輩の実家から辞職願いが出された
先輩は発見されたものの
精神を病んでいて
とても復職できる状態ではないとのこと
先輩の両親がオレの部屋に荷物を取りに来ることになった
一ヶ月間オレは怖くて
隣の部屋はなるべく近づかないようにしていた
(寮を管理してる総務課のヒトが
部屋に来てもオレは覗かないようにしてた)
先輩の両親は衰弱しきっった様子で
オレに挨拶に来た
(オレは総務のヒトからかぎを預かっていた)
オレは先輩にお世話になった身でもあり、
荷物を運ぶのを手伝うことにし
部屋の鍵を開けた
(部屋は先輩がいなくなったそのままにしておいてある
事件性があった時の為だ)
綺麗好きだった先輩の部屋はよく整理してあった
部屋の中央に炬燵があって
二つのコーヒーカップが置いてあった
一つは飲み干されていて、
もう一つはコーヒーが入ったままである
オレはコーヒーの入ったままのカップのそばに
長い髪が落ちているのを見つけた
あの日の事が鮮明に蘇ってきた
『オレが見た女のヒトのモノだ!』
オレは両親に詳しいことを聞きたかったが
そんな雰囲気ではなく
淡々と荷物運びを手伝った
オレはその後、寮を出て会社もしばらくして辞めた
先輩がその後どうなったか気になったが
今となっては知るすべも無い
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コメント
コメント一覧 (27)
女の方も、同室とは言え関係無い後輩のところに出てもねぇ・・・
もてあそばれ自殺してしまった女性が先輩に会いに来たとでもいうのだろうか
(相部屋:一つの部屋に一緒に停まる事)
って辞書にも書いてあるし。
「会社に与えられたアパートはバス・トイレ・キッチン付きで、二つの六畳間をそれぞれの個室としてシェアしていた」
みたいに書くべきじゃないかな。
次に、金縛りを除くと、作中で心霊現象は起きていないようにも読めるんだよね。
例えば、
・自殺した女性には、長い髪の女の親族(仮にA子とする)がいた。
・A子は不実な「先輩」に復讐を誓うが、「先輩」は逃げ回っていて接触できなかった。
・A子は、自殺した女性が持っていた合鍵を使って寮に侵入した。「オレ」が目撃したのはこの時のA子。
・A子は、待ち伏せする形で強引に「先輩」と面談。睡眠薬入りのコーヒーを「先輩」だけに飲ませ、拉致した。「オレ」は金縛り状態で口論の一部を聞いた。
・A子、「先輩」を監禁。拷問して廃人にしてから遺棄。
という経緯なら、男女関係のもつれの果ての事件とも考えられる。
せめて、「先輩」がどこでどんな有様で発見されたのか書いてくれないとなあ。
女にモテモテでも油断するとそうなる。
俺は女にモテないし金もないし才能もない、
ただ、ヒマならある(笑)
それがバレないように幽霊の仕業にしている。
としか読めないんだが(笑)
自分の姉か妹、あるいは女友達が、その先輩に二股かけられていてその復讐か?(笑)
もしくは自殺した人が自分の知り合いだったのか?(笑)
一回目の金縛りで全然ビビらずに眠れて、明け方起きて金縛りでビビるとか意味が分からないし(笑)
長い髪の人がいたとか、落ちていたとかはお前しか知らないから創作し放題だしな(笑)
幽霊の仕業なんかにしようとクソな文章考えてないでさっさと自首しろよ(笑)
ツマラン
0点
作り込みが甘いと先の※が指摘する通りとは思いますが、いいできだと思います。
実話なら先輩の阿呆!ってとこですかね。
しかし、無理のある自分流の解釈を垂れ流す※は非常に不愉快になるものですね。反省しないと。
>週末の寮での飲み会でよく酒のつまみにされていた
「酒の肴(さかな)」ではありませんか?
>6畳の部屋が二つのトイレ、キッチン、バス共用の相部屋
これは、襖か障子で仕切られた6畳の部屋が2間あるとしか私には思えません。続けて、「よく女を連れ込んで同僚の顰蹙を買っていたそうだ 俺が入ってからは収まったものの」とある事からも、主様と先輩は自由に出入りできる隣同士の部屋にいた可能性あり。独立した個室なら、主様が来ても先輩が女遊びを控える理由がない。
でもそうなると、主様が先輩の部屋の鍵を預かっていた、と言う記述と矛盾します。
要するに、主様が物語の基本設定をきちんとしなかったか、書いている途中で設定を忘れたのが原因でしょうか?
最後に、1ヶ月も放置された部屋にコーヒーがカップに入ったまま残っているわけがありません。蒸発しますよ。いや、それこそが怪奇現象だ、と言う事かも知れませんが、私にはこれも主様の設定ミスかと考えられます。
それにしても、この物語を全く別の角度から切り込んで思いも寄らない解釈や解決をもたらす投稿主の方の頭の切れの良さには感服します。私などには及びもつかない知性です。
長文失礼しました。
もし分かる人がいたら、説明してくれないか?
間取りに関しては貴方が勝手に悩んでいてください。※に上げる内容ではないですね。
それ以外は確かに、私も思う。
推測すると、作者は脱衣所のないユニットバスタイプのアパート(そう言う物件は実際にある)に今住んでいて、自宅の湯船に浸かっているイメージで話を書いたのかな。
いろいろ細部が甘い話だから、脱衣所の存在自体を忘れていたのかもしれないし、もちろん※12の推測通り、おしゃれな寮が舞台なのかもしれないけどね(笑)。
長い髪の女が幽霊なら、飲み干してあったのは幽霊ので、残ってたのが先輩に用意したものでしょう。
相手がいないのに先にコーヒー淹れちゃうのはなんだけど、出来る事をやろうとするカワイイ人です。帰ってこない先輩をどんな気持ちで待ってたのかな? ちょっと切ない…
女が幽霊とは別の 生きてる女性なら、飲み干したのは先輩で、女性は口をつけなかった。
妊娠していてカフェインをとらない様に、赤ちゃんをきづかっていたのかな?
優しい人そう。
↑いずれにせよ、先輩の気を狂わすような人ではなさそう。ということで、投稿者は先輩を狂わせない方が良かったな…
つまり、幽霊女が毎日毎日先輩のためにコーヒーを淹れていて、「オレ」はそれを知らないまま、1ケ月間隣の部屋で暮らしてたって事?
そっちの方が怖くないか。
それに、もし先輩が精神を病まずに
「やースマンスマン、ちょっと憂鬱になっちゃってさー、旅に出てたんだよね。おかげさまで吹っ切れたよ!」
とか、
「彼女の一人を孕ませちゃってさー、向こうの実家でスゲー揉めてたんだよ。結局会社辞めて、彼女の地元で身を固めることにしたわ」
とか言いながら爽やかに笑って登場したら…。もう完全に怪談じゃないよね。
日常・恋愛系の板に”オレの迷惑な先輩”ってタイトルで投稿するネタになっちゃうよ。
※11
鍵は個人部屋(それぞれに与えられた6畳)に後付けされたやつでは?
個室があっても脱衣所すらないすけすけ風呂では女は来ない。ラブホ代わりに連れ込んでいたわけだから。
※6は正直者(笑)
うるさいなーー。 なに?なに??
思っちゃったんだから しょーがないでしょ!!
分かってるよ! 変なのは。
だから敢えて後ろに入れてるんじゃん!!
いいじゃん。これお話なんだから。君は現実的すぎ。小学校の国語で宮沢賢治が「クラムボンが笑ったよ。カプカプ笑ったよ。」って言い出した時、大丈夫だった?
突っ込まれて 嬉しいけどさぁ…
裏のないお言葉 メチャ嬉しいけどさぁ…
変われる予感 全然ナッシング♪
又のご来店 心よりお待ち申し上げております。
(もしかして僕のコメントが君に対抗してるみたいだった?それならアンカー入れるからね)
僕に「完全に怪談じゃないじゃん」って言ってるけど、※5の方が怪談じゃないじゃん。
僕の方が半分 怪談。
気を悪くはしていないけど、酔っぱらってるのかと思うようなキレ芸にはちょっと驚いた。
新年会かな? あけおめ真也。
>※21
ついでに書くと※5でもあります。
※5で指摘したのは、
「元のままでも、この怪談には心霊話以外の解釈の余地がある」
という点で、※17後半で指摘したのは、
「そこをいじったら、そもそも話として完全に別ジャンルになっちゃうじゃないか」
という別の点なんだけど。
ピンと来なかったかな。
自分たちは頭いいと思い上がってるんじゃねーの?
お前らカノジョいないだろ!
さみしいよな…。