大学時代に聞いた話

実際にそいつが体験した

そいつ(Tとする)の家は美容院。

1階が店舗で、2階が居住用。

Tの部屋は2階の一番奥で、
その当時部屋に電話がなかった。

電話を使うときは、
いつも1階の美容院の電話を使っていた。

外から店の入り口を入ると
すぐに待合スペース。

その先に会計カウンターがあり、
電話はその会計カウンターにあった。

カウンターにはいすもあり、
Tはいつもそこに座り電話をしていた。

いつものようにTが友人に電話をかけていると、
カウンターから見て一番左奥の蛍光灯が消えた。

蛍光灯が切れたのかな?と思い、
後ろにある電気のスイッチをパチパチと押してみたら、
蛍光灯が付いた。

家も古くなっていたので、
接触が悪いのかなと思ったTは
然程気にせずに電話を続けた。

すると今度は、
奥から2番目の蛍光灯が消えた。

Tは、しょうがねぇなと思い、
また後ろのスイッチをパチパチ・・・。

蛍光灯は再点灯した。

すると今度は、
奥から3番目の蛍光灯が消えた。

Tはイライラしながら
スイッチをパチパチ・・・。

蛍光灯は再点灯。

なんか、おかしいなと思ったTは電話相手に、
2階から電話をかけなおすと告げ
受話器を置いた。

受話器を置くと同時に、
全ての蛍光灯が消えた。

すると今度は全ての蛍光灯が
まるでストロボのように
交互に付いたり消えたりし始めた。

こりゃヤバイ・変だと思ったTは
2階へ上がるドアを開けようとする。

が、建て付けが悪く、
いつもは半ドア状態の扉が
今日に限って完全に閉まっている。

いくら押してもビクリともしない。

強く押すと、少し開くのだが、
向こう側から押し返されるように
また完全に閉まってしまう。

何度か同じことを繰り返すが、
全て押し返されてしまった。

以前兄貴に同じようにからかわれたこともあり、
また兄貴がやってるのかと思い、

「兄貴!ふざけんなよ!シャレになってねーよ!」

と叫ぶが、反応は一切なかった。

結局ドアは開かなかった。

この時には蛍光灯は何事もなかったように
全て点灯していたが、
怖くなったTは友達に電話をかけなおした。

兄貴がいたずらしてマジ頭に来る、
など怖さを紛らわすように話を続けた。

自分(私)にも経験があるのだが、
電話をしている時、
他愛の無いものに目が行ってしまうことがある。

この時のTも同じで、
電話をしているTの目が行ってしまったのが、
待合室のパーティションにある
頭だけのマネキンだった。

そこには3体のかつらを着けたマネキンがあり、
全てのマネキンが、
客に良く見えるように待合室に向いていた。

Tから見ると、
マネキンの後横顔がみえた。

Tが見たのは真ん中のマネキンだった。

電話で友達に今までの経過を話していると、
その真ん中のマネキンが、

キィッ・・・

と、首だけTの方へむいた。

動くはずのないマネキンを見たTは、
悲鳴を上げながら
2階へ続く階段のドアへ体当たりをした。

ドアは何事もなかったように開き、
Tは階段を駆け上がる。

その足で兄貴の部屋へ行き、

「ふざけんなよ!まじしゃれになんねーよ!」

と文句を言った。

すると兄貴は、

「なんのこと?」

と不思議そうに聞き返した。

Tは、

「俺が1階で悲鳴上げたの聞こえたろ!」

とけんか腰でいうと、
そんなもの聞こえなかったと、
兄貴は知らん顔。

本気で怖くなったTは、
その夜布団をかぶり震えながら眠った。

次の朝、
高校へ登校する際には必ず朝シャンするTは、
ビクビクしながら1階へ降りていった。

もちろん最初に見るのは、
あのマネキン。

すると3体あったはずのマネキンが、
2体しかない。

不思議に思ったTは母親に、

「母さん!マネキンが2体しかねーよ!」

と聞いた。

母親はこう答えた。

「なに言ってるの。マネキンは最初から2体よ。」

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事