漏れは祖母、父母、妹と弟というごく一般的な家族。

みんなと夕食をとった後、ベランダでいつもの一服しようと、
窓を開けると庭にぼんやりと黒い固まりを見つけた。

近寄ってよく見ると、どめどなく血を流している首の無い猫の死体だった。

気味が悪い。

そう思った漏れはすぐに警察に連絡した。

警察による見解は「いたずら」というものだった。

同じような事件が近所で起こっているらしい。

とりあえず、今日から戸締まりを厳重にし、
家族にも不審者に警戒するように言った。

特に妹たちは両親からしっかり守るようにいつも言い聞かせられているから、
できるだけ一緒にいようと思った。

事件は起こった。

あの猫の件はこの事件の兆候だったのだろうか。

やはり夕食をとった後に、猫の件で家の近所の見回りの途中、
今度は丸く、大きなものを発見した。顔のつぶれた、人間の頭だった。

僕は恐怖から無我夢中でその場を走って逃げ、交番へかけより事情を話した。

現場検証。

頭の身元は女性だった。

一週間立った今でも警察は頭より下の部分を未だ発見できずにいる。

凶悪犯は今も近くにいるのだろうか?

今、思い返せば何故このような事件が起きていたのかやっと理解した。

でももう遅い。

ええと、何があったのだろう、、そうだ。

女性の頭を発見して、近所ではみんなは疑心暗鬼、
こもりっきりになって、うちもみんなで震えて寄り添っていた。

そして、漏れだけはこの凶悪犯を探し出して捕まえてやろうと
自衛のための包丁を持って外へ。

そして無数の頭の無い猫の死体。

直後、後ろから何者かに首を噛まれる。

振り返ると、頭は人間で体は猫。

怪物だった。

漏れは持っていた包丁を構えると、
細い首を狙って勢いよく振り下ろした。

急いで家に戻ると、あの猫怪人が四匹いた。

既に首の無い猫が二匹。

何故ここにいる?妹は?弟は?家族はどうした!?

鋭利な歯で襲ってきたが、真っ先に猫怪人を滅多刺しにし、息の根をとめた。

妹たちはどこだ!?

よかった。

台所の冷蔵庫の影に妹と弟が包丁をもってガタガタと震えて隠れていた。

よかった。

よほど怖かったんだろう。もう大丈夫。

漏れだよ。怖かったね。今助けてあげるよ。

声をかけた瞬間。刺された。妹に。どうして?

妹は叫んだ。来るな猫!!馬鹿猫!って。あれ?

漏れは?

・・そだとしたら、さっき包丁で殺した猫怪人は・・。

薄れゆく意識のなかで一連の事件の謎の了解を得た直後
漏れに向かって包丁を振り下ろす、妹の姿だけがはっきりと見えた。

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