派遣社員だった俺は
山形県にある工場で働くことになった
クリーンルームの中で部品の交換をする仕事なんだが
半年ぐらい経ってから
新しい製造ラインの立ち上げに参加するように言われて
今まで働いてた部署とはちょっと離れた所に作られた
その新ラインで作業をすることに
しかしどうもこのラインは他と空気が違う
工場の外れの方にあるので
人通りが少ないというのもあるんだけど、
何か空気が重い
照明も、明るいはずなのに
何か明るさを感じられない
一言で言えば
「嫌な感じ」のする場所だった
そんなこんなでラインは立ち上がったのだが、
機材の故障が多く、動いている時間よりも
止まっている時間が長いという日がしばらく続いた
ラインが止まっている時は特にすることもないので、
掃除をしたりして適当に時間を潰すんだけど
ある時、同僚がある機材の目立たない場所に
お札が貼ってあるのを見つけた
小さいお札で、
何て書いてあるかまでは見なかったけど、
その時は
「こええw
ここ祟られてるから故障が多いんじゃねえのw」
という笑い話で終わった
そんなある日、
他の部署で人が足りなくなったとかで
応援に何人か行った結果
俺と先輩の2人だけでラインを見なければいけなくなってしまった
常に誰かいなくてはいけないので、
休みも交代で取ることになっていて
今回は先輩が先に休憩に行くことになった
先輩が休憩に行った後、
広いラインの中を俺1人で機材を見て回っていたんだが
例のお札が貼ってある機材の近くにある他の機材の検査していたら、
突然空気が変わった
俺はクリーンスーツにヘアネット、
ゴム靴ゴム手の完全装備
何もしなくても暑い環境なのだが、
冷や汗が出て体が震えだす程寒くてたまらなくなった
そして、俺の背後に何かがいるという気配と
その「何か」の視線が痛いほどに感じられた
俺の後ろの壁とは3mぐらいの距離しかない。
当然ながら、出入りする場所もない。
そもそもこのラインには俺しかいない。
その時、視界の隅に赤いものがチラっと見えた。
背後の壁はクリーム色をしていて
赤い色などあるはずがないのに
なので俺は「えっ?」と思って思わず見てしまった
といっても首が僅かに動かせただけなのだが、
赤い子供ぐらいの大きさの「何か」が
そこにいるのだけは分かった
もう俺はパニック状態。
でも体が動かず、
寒さと恐怖で気絶しそうだった
先輩の休憩時間は1時間ちょっとだったと思うが、
数時間にも感じられ
やっと先輩が休憩から帰ってきてラインに入ってきた瞬間、
寒さは消え去り体も動かせるようになった
俺は先輩との引継ぎもそこそこに、
そのラインから逃げ出した
その後しばらくして俺はその工場を辞めた
幸いにも辞めるまでそのラインで1人作業をする機会はなかったが
今でもあの時見た「何か」は何だったのか気になっている
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コメント
コメント一覧 (10)
「まだこんな古いアンプ使ってんの?もうこんなんどこにも無いし今時、使ってないよ。」
「捨てるにも捨てられなくておやじとの思い出のものなんですよ。」
「じゃ~ドライバーあるか?」
「これですか?」
「違うよ!それはゴルフで使うものやないか~!」
「じゃ~私が運転しますよ。どこまで行きます?」
「違うって、それはただの運転手やないか!冗談はいいから早よ持ってこい!」
「先輩、くっ苦しいです。はっ早く見てください。」
「何やってんの?それはイナバウアーやないか!」
「正解です。先輩さすがですね。」
「そんなんどうでもええよ。おまえ、直す気あんの?」
不慮の事故に遭わなくて良かったですね。
先輩に、起こった事の状況説明もしないで、
今度は、先輩を1人っきりにして、自分だけ逃げ出したと?
投稿者さん、こう言っては失礼ですが、冷たい人ですね(`・ω・´)
一人で作業してる時に後ろから男の低い声ではっきりと『おい』って聞こえて、びっくりして振り返ったんだけど誰もいない。というか工場なので機械の騒音でうるさいから人に話すにも耳元で大きめの声じゃないと聞こえない。でもさっきの声は普通の声量だったんだよね。その工場も機械の故障とかエラーが多くて稼働率20〜30%くらいの変な工場だったよ。雨の時って物音が掻き消されたりして人の存在に気づきにくいけど、工場も同様に騒音に紛れて変なものが棲み着くのかもね。