私の祖父の話。

祖父が若い頃、道で財布を拾った。

開けてみると少しの小銭しか入っていない、
古めかしい布で出来た財布。

交番に…と思いつつ、
大金ではなかったからか
忘れて持って帰ってしまった。

その夜、
風呂から上がり自室に入ろうとすると、
誰もいないはずの中から声が聞こえる。

「よ…って帰…」
「よう持っ…なぁ」

不思議に思い戸を開けると、
祖父の鞄の周りを
ぎすぎすに痩せたざんばら髪の女性が歩き回っている。

思わず叫んだ祖父にその女性は、

「よう持って帰ったなぁ」

と言って消えた。

あっと思い鞄を開けると、
届け忘れた財布が。
祖父は夜が明けると同時に交番へ走ったとか。

それ以来、
大事そうな物が道に落ちていても
絶対拾わない事に決めたそうな。

どういう財布だったんだろう…

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