学生時代に霊感がある彼女と付き合っていた時の話です。

その彼女は母方の祖母が霊能者で、
その血筋を引いていて霊を見えるそうだが除霊などは出来ず、
やれる事といえば祖母から貰ったお守りを
頭や肩にポンポンと軽くあて霊を離すくらいだった。

霊感がゼロで霊なんて見えた事がない僕にとっては、
あまり現実味がなかった。

彼女は霊に慣れていた。

彼女と遊んでいる時や部屋にいる時も見えるそうで、

「そっち行ったらアカン」

会うなり

「あんた黒猫ついて来てるで
(来る途中に黒猫の死体をバイクでひいてしまった)」

一緒に寝てる時にも天井に向かって

「…ゴメンな、うちは何もできひんねん」

という行動があった。

本来明るい子だったし
僕自身がまったく見えない感じないので問題はなかった。

あの夜までは、


あの夜も、いつもの様に壁につけたベットに
彼女が壁側で僕が内側で寝入った。

その夜中ジットリとする布団の不快さで目を醒ました。

見ると横の彼女が全身から脂汗をかいて目を大きく見開いて、
手で僕の袖口を震える手で鷲掴みにしている。

そして一言

「…コワイィィ…」

こんな彼女は今まで一度も見た事がなかった。

驚いた僕は周りに気を配ると部屋全体の雰囲気が変…
重苦しく天井がやけに低く感じられ圧迫感が凄い。

しかも異臭がすごく
(指にベットリついた唾液をぬぐい、
その指を嗅ぐとするあの酸味の強い唾液臭)が鼻をついた。

そして生まれて初めて感じた

『誰かがどこかで見ている…』

刺す様な視線を感じて探したがわからない。

横で震えながら彼女が例のお守りを布団の中で僕に手渡した。

困る!かなり困る!!

僕は一般人で、あのポンポン作業をやれと!?

僕は泳ぐ目で探した、見つけたくなかった…が、
見つけてしまった…。

すぐ側に…手の届くほど近くに…
老人が鼻から上の顔半分をベットの縁から覗かせていた。

その顔は紫黒く、目玉が落ちそうなほど見開いた目は、
魚の目の様に生気がなく、眼球の白い所が黄ばんで血走り、
ベットで隠れて見えない口は

「クチャ…ペチャ…」

と汚く何か食べてる様な音がし、
両頬には二本づつ指を添えて僕を恨めしそうに見上げていた。

僕は奇声を発し、
お守りをその頭の上に落とす事が精一杯で気絶してしまった。

気がつくと朝になっていて、彼女は横で寝ている。

夢だったのか?とベットから起きようとすると、
足下に破れたお守りがあり、
唾液の臭いがした。



後日談ですが、か?その後彼女とは別れ、
別の男と結婚し、出産するとなぜか霊感はなくなってしまいました。

一方、僕のほうは憑かれやすい体質になり、
そのたびに元彼女の祖母に除霊してもらっていて、
祖母と大の仲良しになりました。

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事