ある夜の事、
一人の少年が喉が渇いたので土間に下り、
台所で水を飲んでいた。
すると、開けっ放しにしていた出入り口の端から狸が頭を覗かせて、
彼をじっと見ているではないか。
少年は狸が家の中に入って来るとまずいので、
「こら!!」と一喝。
すると、
狸はゆっくりと頭を引っ込めて逃げて行った…
と思ったのも束の間。
その日はちょうど満月で、
明かりを付けなくても全く問題が無い位明るい夜だったはずなのに、
ほんの一瞬で、少年は自分の手元すら見えない、
真っ暗闇の中に放り込まれてしまったのである。
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