今から数年前、俺は関東地方のとある町で、マンションの施工工事をやっていた。
建物自体はほぼ完成し、電気屋、水道屋、内装業者などが仕上げの工程に入った頃、
変な噂が立ち始めた。
三棟ある建物の一つで、夜間作業中に男の叫び声を聞く者が続出したからだ。
俺の会社がその建物の工事に入った頃、納期も間近で、徹夜作業が何日か続いていた。
他の業者からその噂を聞いていた俺は、なるべく一人になることを避けた。
なぜなら、その叫び声を聞いた者に限って、怪我や事故が頻繁にあったらしいからだ。
現場責任者はゼネコンのすかした奴で、お払いしろとの要望を無視していた。