専門学生時代に、
同級生(でも年上)が高熱で動けないと聞いたので、
お見舞いに行こうと思ったら、
それよりも先に

『うつるからきちゃだめ』

とメールが入ってきた。

それでも、
一人暮らしの体調不良なんてろくなものもお腹に入らないだろうからと、
スーパーで缶詰めとかうどんを買った。

また、『きちゃだめだからね』とメールがきた。

合鍵は持っていたから、
はじめは玄関に袋でも置いて帰ろうかと思ったけど、
メールを出せる元気があるならと、
やわらかい煮込みうどんでも作る気で彼女の家に行った。

「勝手にじゃまするよ~」

と部屋に入ると、すごい寒い。

熱があるからクーラーでもつけてるのかと見たら、
コンセントが抜いてある。

季節は5月もすぎた頃で超あったかい。

そういや北部屋でもないのに妙にじめじめしてる。

真っ白な顔されて

「だめっつったろー」

と言われたけど、耳もとで

「なにか食べる?」

と聞いた途端、
彼女が物凄い勢いでベッドの上にゲロった。

枕元に洗面器があったので、
慌てて用意してもドバドバ溢れる程出てきて、
それがやけに透明で臭いもしない。

なんじゃこりゃ!食べてないから?
でも胃液は臭いはず?とテンパリながら、
背中をさすったけどおさまらなくて、
彼女も鼻水たらして涙もぼろぼろ流してるし、
あんまりひどいから、
でかいタオルとトイレットペーパーを取りに行った。

戻ったら彼女はけろっとしてて、
血色もよくなってる。

部屋もいつのまにかぽかぽかしてて、
西日が明るい。

なにより、洗面器には何も入ってないし、
透明なげろが飛び散った形跡はどこにもない。

「来るなって言ったのに来てマジびびったし。でもうつらなくてよかった」

とにかく彼女は元気になって、

「お腹が空いた飯作れ」

と言われたのでうどんを作ってあげた。

ちょっと恐かった。

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