『兵隊さんとの想い出』に似た経験をしたことがある。
小学生の頃、2年生の時だ。
父の仕事の関係で、
関西圏の田舎に引っ越した。
引っ越した先の借家は、
一戸建ての平屋でちょっと古かった。
当時、
学校の子とは上手く馴染めず、
寧ろいじめられていた。
だもんで、
俺はずっと一人遊びをしていた。
そんな時、
絶対後ろにおっちゃんがいた。
俺が一人で遊び始めると、
いつの間にか後ろに立っている、
スーツ姿のおっちゃん。
俺はそのおっちゃんを、
『なんとおっちゃん』と呼んでいた。
なんで『なんとおっちゃん』って呼んでたかっていうと、
いつも
「これは何だ」
って指を差して聞いてきて、
「これは○○で、こうするもんだよ」
って説明したら、
「なんと!」
って驚くからだ。
で、驚くだけでその話は終了。
また、
「あれは何だ」
って指を差して聞いてくる、
それだけのおっちゃんだった。
いつの間にか消えていて、
いつの間にか後ろに立ってる。
そんな『なんとおっちゃん』は、
俺の良き遊び相手だった。
今も昔も変わらず、
俺は人に物を教えることが好きなんだ。
しかも『なんとおっちゃん』は、
教えたことに対してびっくりしてくれるから、
教えがいがあった。
その上、びっくりの度合いも、
説明の仕方や物の違いで変わった。
一番驚いてたのは、
テレビだったかなぁ…
テレビ画面にくっつきそうなぐらい、
顔を近付けてた。
あ、あとは炊飯器。
今思えば、電化製品に対しては、
びっくりの度合いがでかかったな。
ちなみにおっちゃんが聞いてこないものを説明すると、
「うむ…」って顔をする。
興味なかったんだな。
ある日、俺は学校で物凄くいじめられた。
プールの後の着替えで、
パンツを隠されたんだ。
しょうがないからってノーパンでいてたら、
クラスのボスに
「こいつパンツ履いてへんで!」
って言われて、
教室でズボン下ろされたんだ。
俺はめちゃくちゃ恥ずかしくて、
学校を飛び出して家に帰った。
丁度母はいなくて、
一人部屋にこもって泣いた。
んで、1時間ぐらいそうやってたら気が済んで、
ヤクルトの空き容器とか集めて一人で遊び始めた。
そしたら『なんとおっちゃん』が現れた。
「今何で家にいるんだ」
とか言わずに、
おっちゃんは俺が作るものをしげしげと見ていた。
で、
「これは何だ」
と聞いてきた。
「これは光線銃だよ。
これで○○(クラスのボス)も殺せるんだ」
俺はその日あったことがすっげぇ嫌で、
パンツ隠した奴とかスボン下ろした奴とか、
殺したいぐらい憎かった。
でもケンカも弱かったから、
慰めに俺は光線銃を作っていた。
すると『なんとおっちゃん』は、
「なんと!」
って驚かなかった。
あれ?と後ろを振り返ると、
部屋一杯にでっかい般若みたいなヤツがいた。
目をギロッとさせて、俺を睨んでるんだ。
うわぁ!とびびって後退りすると、
その般若みたいのがパッと消えた。
それから『なんとおっちゃん』は現れなくなった。
俺はあれ以来、
『殺す』とか『死ね』って言葉を使うのが怖くなった。
『なんとおっちゃん』は、
『そんなことを言っては駄目だ』って教えてくれたのかもしれないけど、
正直トラウマだ…
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コメント
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いざというとき助けてくれないおっちゃんなんて…
なんとけちくさい。
虐められていることについて相談したら、虐めの加害者を罰するのではなく、被害者を転校させるタイプの無能教師か!
虐めの加害者よりもタチ悪いわ!
さっさと除霊しろ!