私は両親共働きの一人っ子、
その上気の弱い方で、
なかなか友達は出来ず、
いつも一人で室内遊びばかりしている様な子どもでした。

寂しいのもあり、
やはり兄弟と言う物に憧れ、
いつも理想のお兄ちゃん像を思い浮かべながら、
ままごとをしていた。

私はだんだんとままごとだけでなく、
一人公園で遊ぶ時も夕飯を食べている時でも、
空想の兄を登場させては会話をするようになっていました。

気味悪がった親は止めさせようとしたけれども、
その癖はなかなか直らなかったそうです。

しかし私も大きくなり、
次第に社交的にもなりました。

そんな私も大人になり、
今では4つになる娘と、
お腹の中に赤ちゃんがいます。

私が妊娠する前まで兄弟をしきりに欲しがっていた娘が、
パタリと兄弟の話をしなくなったので、

「Mちゃんは妹と弟どっちだと思う?」

と私から話しかけてみると、

「お兄ちゃん」

と言いました。

兄と弟の意味を間違えたのだと思い、

「Mちゃんの次に生まれて来るんだから、
弟って言うのよ」

と教えると、娘はムっとして、

「違うよ。
ママのお兄ちゃんがお腹に入っているんだよ。
ママのお腹に入る前まで一緒に遊んでたんだ」

と言いだした。

私は幼い頃の自分を思いだし、
この子も寂しかったのだろうと解釈していると、
娘が、

「ひろしお兄ちゃん。
いつもママを睨んでたよ」

ぞわっと鳥肌が立ちました。

私の想像の兄の名前もひろしでした。

母に流産などの経験は無く、
ひろしお兄ちゃんは確かに私の空想でした。

ワケがわからないまま、
私は不安の中でお腹を抱えています。

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