暇だからってことで
大学の空きコマ時間で友人と空き地でキャッチボールしてたんだけど、
俺のミスで大暴投してしまった。

空き地の横には民家と軽い敷地があったのだが、
ボールはそちらの方向に。

しばらくの時間、
友人とボールを探していたら、
民家の方から

「あのー」

と声をかけられた。

そっちをパッと振り向いたら、
古びた民家には似つかぬようなギャルメイクをした
若い女の人が庭に立っていた。

「ボール探してるんですか?」

そう問いかけられたのでそうですと答えたら、

「こっちの庭に入ってきましたよー」

と言いながら女の人が振りかぶった。

俺らはまさかボールを返してくれるとは言え
返す際に本格的に振りかぶって投げられるとは思わなかったので、
意表を突かれて後ずさりして

「お、おう」

となった。

そんでギャルは
アイドルの始球式みたいな
女の子投げなフォームでボールを投げてきた。

…のだが、
ボールがすごい真っ黒。

庭のどこかに突っ込んで汚れたのかな?と思ったが、
ボールを捕った友人が

「うあおああ!」

みたいな声を上げて
グラブトスの要領でボールを放り投げた。

どうした?と聞いたら、
友人は困惑した表情で無言でボールを指差す。

何事かと思って
放り投げられたボールの方に歩み寄って見てみると…

黒い毛虫がボールにびっしり付いていた。

しかも見た感じ全部生きていない。

ボールに纏わりついて蠢いているというよりかは、
死体を人工的に無理やりボール全体に貼りつけている
といった感じだった。

え?何これ?え?
と思ってふとギャルの方を見たんだが、
ギャルは俺らの方を見たまま
直立不動で表情も崩さずに
ただ真顔でジッとこちらを見ている。

メイクの効果で強調された目元が狂気的だった。

真相は分からないけど
とにかくマトモな人じゃないことには違いない。

幸い、
ギャルもそこから動く様子は無かったので、
俺はそこから目を逸らさずに
狼狽している友人の手を引っ張って帰った。

なんかもう意味が分からない怖さがあるので、
それ以来そこの空き地には行っていない。

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事