中学生くらいの時の話。

当時仲の良かった4人で、
肝試しすることになったんだ。

俺の他をA・B・Cとしておこうか。

夏だったし、
地区にあるトンネルの上に丁度良さげな廃病院があるってんでさ、
その日の深夜にいくことにした。

結構距離があったけど、
自転車でいったのよ。

で、トンネルの前まで着いて横から階段を登る。

暫く草を分けて進んでくと病院が見えてきた。

まだ結構距離あるなぁなんて思ってたら、
Aが目標を目前にして、

「すまん、やっぱり絶対入りたく無い。気持ち悪い」

って言い出したんだけど、
残りの2人がテンション上がり切ってて、

「勿体ないよ此処まで来たのに。
俺たちだけでも行っちゃうよ?」

「此処で待ってる方が怖く無いか?」

って言ったんだけど、
どうしても無理らしい。

「いいよ、三人で行って来てくれ。
トンネルの前で待ってるから、ごめんな。
つか本当にいくの?
やめといた方がいいよ」

トンネルも一応心霊スポットで有名なんだが、
そっちの方がマシだとまで言う。

俺はそれで少しびびっちゃったんだけど、

「そか、わかった俺たちだけで行くよ」

『俺たち』の中に俺も入ってんだろうなぁと思い、
もう着いていくことにした。

「なんかあっても、
絶対自分たちでなんとかしようと思うなよ。
後で誰か連れて来た方がマシだから、すぐにげてこい」

Aが言った。

俺は完全にとどめを刺された。

また暫く歩いて、
やっとこさ前までついた。

「うほー雰囲気あるなぁ!」

Bは楽しそうだが、
俺はさっきAに言われたこともあって、
かなりビビり始めていた。

「だれかいますかぁー?
きたねぇとこですねー。
うわぁボロボロ」

Cは楽しそうに病院に入っていく。

おれはタモリの怖い話を思い出してしまう。

「いたらどうすんだよ、やめとけ」

「録音してるわけじゃないんだから。大丈夫だろ」

一階には手術台?以外特にめぼしい物がなく、
二階に上がることにした。

階段を上がって右手に廊下が伸び、
その突き当たりで廊下が右に折れていた。

なんかわからんけど、
そこがどうしようもなく怖くて、
気持ち悪かった。

Aの気持ちが分かった気がした。

「も…もういいだろ?帰ろうぜ」

「あそこだけっ調べてっ来るわ、
怖いならお前もうここにいろよっ」

Cが妙に冷たく、
たまに何かを飲み込む様に言い放った。

BどCが廊下を慎重に進んで行って、
角に差し掛かった。

Bが膝からゆっくりうつ伏せになり、
Cは廊下の先を見つめて

「フーッ……フーッ……」

深呼吸の様な、
変な息の吐き方をしだした。

体に動きがなかったから、
吐き出してたのか。

Aの言葉を思い出す。

俺には何もできないんだと自分に言い訳をしながら、
咄嗟に逃げ出した。

いまやさっきの気持悪い感じが、
病院全体に広がってる気がした。

「っおォっ……グッぶっ……ごェえ……」

何か吐き出そうとしているが、
何も出てこない。

そんな嗚咽が聴こえてきた。

Bの声だ。

直後に妙にはっきり、

「んぁ……カ……っカ……り」

音声に、
ストロボかトレモロを当てた様な声が聞こえる。

BかCがおかしくなったのかと思っていたが、
今でもわからない。

走りたくなかった。

出来るだけだれにもに気付かれず、
逃げると言うよりもその場を離れたかった。

やっと病院を抜けて全力で走り出し、
Aのところまでたどり着く。

「やばい!どうしよう!
あいつらが、その!倒れちゃって!
あの!どうしよう!」

「俺たちだけで帰ろう」

「ふえぇ!?」

肩透かしを食らった。

「俺たちじゃどうしようもねぇよ。
仮に霊が見えたとして何ができんの?
急ぐぞ。
俺たちまで倒れるようなことがあったら
それこそどうすんのさ?」

「いや、あっ!でもっ!!」

こんな時にいやに冷静だし、
正論すぎて反論できなかった。

「おぃーなんでおいていくんだよ!」

寒気がした。

BとCだ。

ヘラヘラして階段の上に立っている。

「おまえら大丈夫かよ…?」

笑顔で近づこうとすると、
すごい力でAに腕をつかまれた。

普段からアイラインを引いたように目がぱっちりした奴だが、
いつにもまして大きくなっていた。

「おーい。おまえらそこにいろ、別々に帰ろうぜ」

そう言うや否や、
Aが自転車にまたがった。

「いそげ、にげるぞ」

俺に囁いた。

『帰る』から『逃げる』に言葉が変わっている事で、
事態を把握した。

BとCが何やらわめいているが、
俺たちは全力で自転車を漕ぎだした。

「別にあいつらにおかしいとこはないのかもしれない。
気持悪い感じもしなかったしな。
でもお前息切らして走ってきたのに、
あいつらに全然疲れてなかったろ?
つか、時間的にもおかしいんじゃ無いか?」

言われればそうだ。

また怖くなってきた。

「取り敢えずO神社行こう。
最悪今日は泊めてもらおうな」

Aはずっと無表情で、
俺をあやす様に言った。

俺は泣き出してしまった。

階段を駆け上がり境内に入った。

「すみません!誰かいませんか」

Aが叫ぶと、
不機嫌そうなおっさんが出てきた。

「何時だと思ってんだ!
ややこしいもん連れてきやがって!
クソガキが!何やらかした!」

よかったよかった。

ここの人は本物らしい。

一通り起こったことを俺が話すと、

「その友達は外まできてるみたいだぞ。
ここまで入ってこないとこをみると、
そう言うことなんだろう。
今日はここで寝ろ。
そんな得体のしれんもん、
俺にはどうにもできんし、
調べるつもりも無い」

その日、
泣きながら眠りについた。

残りの夏休みは、
妙な罪悪感に苛まれながら過ごした。

BとCには意図的に会わないようにした。

そしてその年の冬、
Cは授業のマラソン中にコースを外れて、
神社の階段の途中にある、
大きな灯篭に押しつぶされて死んでしまった。

大人でも倒すのは到底無理なほど大きい。

Bは一昨日、
他府県から地元に帰ってきたが、
家には顔も見せず、
『ただいま』という留守電を両親に遺し自殺した。

この話を書こうと思ったのはBが死んだからなんだ。

んで、次は俺なんじゃないかと思ってる。

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