西洋の怪奇短編集の編者あとがきで読んだ話。
うろ覚えでごめん。(本のタイトルも失念)
編者の高校の漢文の先生が若いころ、
散歩の途中で一匹のナメクジが、
じっと前方の樹を見つめているのを見つけた。
はて、こいつはどうしようというんだろうかと見ていると、
いつの間にかナメクジの体の周囲に靄のようなものが立ちはじめ、
やがてナメクジは靄の中に隠れて見えなくなった。
どうなるのかとなおも見つめていると、
靄の中から一条の細い光の糸のようなものがするすると伸びて、
その先端が前方の樹の幹に達した。
ふと見ると地面にいたはずのナメクジが消えており、
いつの間にか樹の幹に移動しているではないか。
「ほう、知らなかった。
ナメクジはこうやって移動するものなのか」
と先生は感心したが、
そのことを他人には言わなかった。
それから何年も経って、ある寄り合いで
「錯覚だったのかもしれませんが…」
と、若いころの自分が見た話を披露した。
寄り合いが終わり、帰りかけると、
参加者の一人が先生のところに来てこう言った。
「ナメクジの話をされましたね。
だれにも話していないんですが…
実はそれ、私も郷里で見たことがあるんです…」
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コメント
コメント一覧 (9)
この謎を医師で名探偵でもあるレジー=フォーチュン氏が解いて行くのですが、その中でフォーチュン氏が、「ナメクジなど腹足類は神出鬼没で、どこにでも移動するという迷信がある」云々の意味の事を言っていたのを覚えています。西洋にはそんな迷信が伝えられているのですね。
投稿者は、西洋の怪奇短編集と書いているので、推理小説である『黄色いナメクジ』とは関係ないかも知れませんが、同じ迷信が深い奥底の土台に横たわっているのかな?
名前のほとんどが
食べ物(飲茶など)や食材(菜っ葉など)絡み。トランクスは除く。
ナメクジすげえ
補足雑学ありがとう。