ある平日の昼下がり、
市ヶ谷駅前から九段下に向かう道を一人で歩いていた。

すると、すぐ後ろから中年男性2人が、
声高に話し合いながら歩いてくる。

声はでかいし、
私のすぐ後ろにぴったりくっついてくるのでうざくて、
ここはスピードアップして引き離そうと思い、
歩く速度をあげた。

ちなみに私は女にしては
歩く速度がかなり速い。

背もでかいから歩幅もある。

ところがおやじ2人は全然離れない。

同じ速度でついてくる。

ほとんど走っているようなスピードになってもついてくる。

……だんだん怖くなってきた。

こいつら何者?

もしやこの世のものではないのでは?

でも怖くて振り向けない。

だってウナジのすぐそばくらいに顔がある感じなんだもん。

やがてある店に前まで来た時、
そこのショーウインドウに映る姿を勇気を出して見てみた。

そこに映っていたのは、
私と………・おやじが一人。

そのおやじは、
一人で二役をしながら、
私の後をぴったりと猛スピードでついてきていたのだった。

駅前から数百メートルの間。

声色を変え、立ち位置を変えながら…。

オカルトではないけど、
生きているキティガイ人間の方が怖いと思った一瞬でした。

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