2年程前の話。

陸送屋に務めていた俺はある夜、
某店舗に置いてある不動車をまた別の場所へ移動する為、
ローダー(※車両を運搬するためのトラック)で引取りに向かった。

某店舗に着いたのは22時頃だった。

誰もおらず、
不動車があったのでそのすぐ前にローダーを付けたが、
降っていた雨が豪雨になり、濡れるのを嫌がった俺は、
取り敢えず雨が弱まるのを待とうと仮眠した。

突然、ドアの窓を叩く音がした。

時計は1時半頃だった。

起きると、
雨でガラス窓は濡れている為に誰かわからない。

警察かな?と思って窓を開けると、
一見爽やかそうなお兄さんだった。

「あの車輌持って行くんですよね?」

と聞かれ、

「ああそうですそうです。
あれ不動車なんで、引っ張りに来た○○の者です」

と答えた。

「え?あれエンジンかかりますよ?」

「え??そうなんですか?
ああまあわかりました、すぐ出ますね」

窓を閉め、一服してからやるか、と、
ふと頭が冴えてきて考えた。

ん?今のは誰だ?

すぐドアを開けたがもういない。

そのまま不動車に向かってドアを開けると、
煙が一斉に噴き出してきた。

シートが倒れ、
その下のエンジンから噴いていた。

しばらくすると収まった。

結局不動だった。

通報があれば警察が来るはず。

店舗の人があんな時間に来るだろうか。

結局あの人は誰だったんだろう。

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