山里の住民に聞いた話。
数年前の夜中、
昼間に火入れをした炭窯の様子を見に山へ入った。
煙の温度を測り、木酢液を入れる容器を交換してると、
少し離れたところを通っている林道を登ってくる車が見えた。
暗い夜道をヘッドライトも点けずに静々と走っている。
やがて車は炭窯のある空き地の入り口まで来ると、
ゆっくりと停まった。
さては不要になった車を捨てに来たのか?
そう思って近づいてみると、
やはりボディーはボロボロで薄汚れている。
注意してやろうと思い、
運転席めがけて懐中電灯の光を浴びせた。
明かりに照らされた車内には、
縺れた有刺鉄線がぎっしり詰まっていた。
人が入れる隙間などどこにもない。
見た途端に背筋が寒くなり、
慌てて人里へ逃げ帰った。
今もその車は空き地の入り口に放置されているそうだ。
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