私の怖い話を、
中学時代からの友達である吉野(仮名)との過去と一緒に
皆さんに知ってもらいたい。


①私の唯一の霊体験(③まであります。長くてすいません!)

私は中学3年生の時に山口に引っ越してきた。

クラスは仲のいいメンツが固まってしまっており、
その枠に入りそびれた私はクールぶって過ごし、
いつの間にかヤンキーとつるむようになった。

タバコを吸ったのも、
バイクに二人乗りしたのもその時が初めて。

その年の夏祭り、
祭りではしゃぐのがダセェと
ヤンキーたちとちょっと遠くの廃墟に肝試しに行くことになった。

隣のクラスのヤンキーの兄が
そこで心霊写真を撮れたか何かで、

「他の奴も誘って行くぞ」

と物見遊山くらいの感覚で向かった。

結局13人ぐらいが集まり、
その中にいたのが吉野だった。

吉野は違うクラスで目立つようなやつでもなかったので、
自分にとってはモブAぐらいの感覚だった。

自転車で集まってちょっと遠くの山まで行き、
山道を登って例の廃墟に着いた。

20時くらいだったが、
山の中ですごく暗かった。

誰かが裏口から廃墟に入れることを発見し、
私も入ったが、霊感も何もないので廃墟(山小屋?)に入っても

「暗いし、古いし、雰囲気あるな」

としか思えず、
人の痕跡を見つけてはヤンキーたちと騒いでいた。

そうしたら急に裏口方向から

「う“う”うぁ」

みたいなおじさんの呻き声が聞こえ、
同級生たちの

「やばくない?」

という声も聞こえてきた。

今回のグループにあんな声のやつはいないので、
私たちも怖くなって顔を見合わせていると、
すぐに裏口の方からヤンキーたちが走ってきた。

私たちも入口の方へ走った。

内側からカギが開くだろうって
先頭の誰かがカギをガチャガチャしていると、
何もいないのに

「ウ“ヮ、ウ“ヮ、ウ“ヮ」

って掠れた声が廃墟の奥の方からゆっくり近付いてくる。

ヤンキーの中には

「女が!女が!」

って騒いでるやつがちらほらいて、
その呻ってるやつがちゃんと存在しているんだと思うと
更に怖くなった。

すぐにドアが開いて一斉に廃墟から飛び出した。

なぜか私はちょっと廃墟から遠のいたところで

「あの女性(?)が何を伝えたくて呻っているのだろうか」

とふと疑問に思い、後ろを振り返ると
吉野が廃墟の前で棒立ちになっていた。

呻り声は聞こえなくなっていて、
何か危機感のようなものを感じ、
急いで吉野のところに駆け寄って

「もう帰ろう」

と話しかけると
吉野にものすごい顔でにらまれた。

めっちゃ怖かったけど
その分必死になって吉野の袖をつかんでいた。

吉野は微動だにせず、体感10分くらい
ずっと吉野の顔も見れずに力を込めていたら、
私が来ていないと気付いてくれたヤンキーたちが私のことを呼んでくれ、
その瞬間に吉野から出てた圧(?)のようなものが軽くなり、
案外すんなりと吉野は私たちについて来た。

それ以来、
吉野は私のクラスにちょくちょく遊びに来るようになって、

「恩人だから」

と色々助けてくれた。

高校時代に悪いヤンキーから離れて、
しっかり勉強して東京に進学できたのも吉野のおかげ。


2.吉野との再会(3までありますorz)

吉野とは高校から別だが高校時代はよく一緒に遊び、
吉野が割と霊感があって

「彼らの感情を読み取ることができる。
可哀そうだと思ってしまい、
よく魅入られる(憑りつかれる?)」

と話してくれた。

吉野はたまにオカルトチックな話をするやつで、
たまに信じられないような話をする。

そんな吉野のおかげで私もオカルト好きになってしまい、
大学に入って吉野とあんまり会わなくなった後も、
オカルト好きな人と交流したり、
怖い話をよく聞いたりしていた

(毎日、部活で疲れて寝るぞって時に
怖い話のYouTubeをつけながら寝るみたいなこともしていた)。

大学3年生になると
人間関係で様々に大変なことがあって、
家族に迷惑もかけたくないし、
面倒だしと一人でふさぎ込んでいた時期があった。

その夏、急に吉野から連絡があり、
コロナで帰らない予定だったが帰省した。

吉野は私のことを詮索するようなことはせず、
3年間で変わった山口の街並みを案内してくれた。

(高校時代から10kgぐらい痩せてたけど、
「あか抜けたな」ぐらいしか言わず泣きそうだった)

夕方ぐらいに錦川で座って話してたら、
すぐ近くの木でカラスが

「グァーウッグ、ガガガ、アゥガ、ッガー!」

と狂ったように、
最後は弱弱しく鳴いた。

私が木の方を見上げているのに、
吉野はまっすぐ川の方を見ており、
普通に話す調子で

「カラスが8回変に鳴いたら、
その下にいる人が死ぬ」

と言っていた。

私はいつものオカルト話だと思い、

「縁起の悪いこと言わんでよ」

と返した。

私が東京に帰って少しして、
吉野が病気で亡くなったと連絡があった。

私と外出してくれた時期もかなり体調が悪かったそうで、
言葉にできないぐらい悲しかった。

吉野は自分が死ぬことを知っていたのかと思うと、
最後に言ってくれた

「ずっとお前の味方だ」

という言葉がすごく嬉しくて、
切なかった。

吉野が私にくれた思い出の分頑張ろうと、
勇気をもらった。


3.今

私は大学中退後、東京で働いていた。

働いていたといっても
大学3年生でとれなかった講義をとりきれず
卒業シーズン直前に中退し、
アルバイトで生計を立てていた。

お金はないが、
それなりに頑張っていたと思う。

外国の方が多く、
色んな言語が聞こえる壁の薄い安アパートに住んでいたが、
夜に私の部屋のチャイムが鳴る事件があった。

深夜、寝ようと思って部屋の電気を消すと
2分おきぐらいに部屋のチャイムが鳴る。

初めて鳴ったのは5月ぐらいで、
深夜2時にチャイムが鳴り、
はじめは間違えているんだろうと思って確認もしなかった。

1週間ほど経ち

「次で3日目、何か意図があるに違いない。
次はチャイムが鳴った瞬間に内側から叩いて驚かせてやろう」

と電気を消してドアの前で待ち伏せをした。

仕事も忙しく気が立っていたため、
私のアパートは人が通ると廊下の電気が自動で点くので、
点くたびにカウンター体制をとっていた。

待ち伏せ2日目にチャイムが鳴った。

廊下の電気が点いてなかったので、
カウンターができず、
しばらく硬直してしまった。

電気が点かないまま何度もチャイムが鳴らされた。

怖くなって静かに布団に入ったが、
開けっぱなしのリビングの扉の向こうで
廊下の電気が点かないままチャイムは鳴り続けていた。

鳴り止んだのは深夜の3時過ぎだった。

怖くなって大学時代の親しかった何人かに事情を説明して、
仕事が終わったら泊まることにした。

2週間ぐらいして
自分の部屋に帰るとすごい臭いがした。

曾祖母の家のぽっとん便所の臭い、
玄関だけその臭いがして、
一緒に来てくれた友人も嫌な顔をしていた。

警察に通報すると
郵便受けから小便を入れられたらしく(汚くて申し訳ない)、
不動産にも相談して実家に帰ることになった。

それまでの数ヶ月に車道に突き飛ばされかけたり、
階段から落ちたり、
勤め先の私が使っているPCが壊れたり、
かなり参っていた。

その話を泊めてくれた友人にすると、

「もしかしたら心霊かもしれない。
沖縄出身の霊感の強い知人がいる」

とマッチョを紹介してくれ、
その沖縄出身のマッチョが
私に中年の男性が憑いていると教えてくれた。

中年の男性が私に強い負の感情を持っており、
そいつから違う青年の霊が私を守っているらしい。

マッチョの語る中年の男性の特徴に心当たりはないが、
青年の方は間違いなく吉野だった。

マッチョは

「中年男性の霊が相当に私を恨んでおり、
守られていない人間に影響を及ぼし、
あなたに害を与えようとしている。
直接お祓いみたいなことはできないが」

といくつか霊への対抗策を教えてもらった。

気のいいマッチョだった。

私は今山口にいるが両親が離婚したり、
とてもよくしてくれていた親戚のおじちゃん・おばちゃんが
次々に亡くなったりしている。

ただタイミングが合っただけかもしれないが、
吉野と大学で離れてから
ドンドンと死にたいと思うようなことが多くなっています。

私を守ってくれている、
すごくいいやつの吉野のことを
私がいなくなった後も誰かに覚えていてもらいたくて、
皆さんに紹介しました。

私は今、めっちゃ死にたくないです。

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