五月荘ってのは、
僕の行ってた中学の真横にあったおんぼろアパートで、
僕が入学した時には誰も住んでなかった。

ツタとか雑草が生えてて人の気配は全く無いくせに、
二階の通路にある窓はいつも開いてて、不気味だったんだ。

でも、とうとう立て壊しが決まったらしいって噂を聞いて、
「潰れる前に、中はどんなのか見に行こうよ」
と、連れとともに探検に出かけたんだ。
(山寺に行ったのとほぼ同じ面子。馬鹿ばっか)

中に入ったら、もうボロボロ。

床にも穴が開いてたり歪んで、
歩くと足を取られる。

俺はぜひとも二階の窓を見に行きたくて、
階段を登ろうとしたんだけど、
「とりあえず一階から攻めていこうぜ」
と連れたちが言うので、後回しにした。

一階は三つ部屋があって、
どの部屋にも鍵はかかってなかった。

手前の部屋から入っていく俺たち。

最初の部屋は家具がほとんど残ってなくて、
部屋の真ん中に日本酒の瓶が置いてあって、
その周りに小銭が散らばってた。

床は新聞紙とか雑誌とか散乱してて汚い。

「乞食が生活してたんじゃないの?」
とか言いつつ次の部屋へ。

次の部屋は何にも無かった。

びっくりするぐらい綺麗に何にも。

でも床の真ん中が窪んでるんだよ。

「なんだこれ」
って連れの一人がその窪みに入っていったら、
ずどん!って床が抜けて、
連れは落とし穴にはまったみたいに上半身だけ出して、怒ってた。

で、最後の奥の部屋。

後付なのかも知れないけど、
その部屋には入るの嫌な感じがしたんだ。

連れがドアを開け放ったとき、
ここに来たことをすごく後悔した。

部屋には、なんというか、
今でも映像は記憶として残ってるんだけど、
真実味が全く無い。

でも、ほんとに、
部屋にはもう埋め尽くすぐらいマネキンが立ってたんだ。

ほんと100体ぐらい。びっしり。

ドアを最初に開けた奴が
「うわ!」って叫んで逃げ出した。

俺も逃げた。

残った連れがしばらくして出てきて、
「あのマネキン、全部女のだった」って言ったとき、
めちゃくちゃ怖かった。

それからずっとさ、気になるんだよ。

教室から見える、
二階の廊下の開いてる窓。

暗くて何も見えないんだけど。

あそこから俺を見張ってたらどうしようとか、
もうそんなことばっかりよぎるんだ。

しばらくして、ほんとに建て壊されたけど、
もうほんと、二階に登ってなくてよかった。

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