実体験。20年以上前の話。

私は、中学校の修学旅行で函館にいった。

ホテルはプールがついているところで、
ウォータースライダーとかがあるところ。

ホテルのそばにマーライオンがいたのが印象的だった。

夜景を見てテンションが最高潮に達していたバスの中で、
バスガイドさんがどういうタイミングか怖い話を始めた。

「皆さんは洞爺丸台風を知っていますか」

から始まったその怖い話の内容は、
まとめると以下のような内容だった。

皆さんの宿泊するホテルは海沿いの、
いわゆるオーシャンビューのホテルです。

ずっと昔、洞爺丸台風という大きな台風によって、
客船が沈没する大きな海難事故がありました。

当時、このホテルのそばの沿岸にも
毎日たくさんの死体が打ち揚げられました。

ホテルにお札や何かが貼ってあっても、
剥がしてはいけませんよ。

何か出てしまうかもしれませんから。

今考えると、
バスガイドさんの十八番ネタなんだろうなと思うが、
当時の自分達は暗いバスの中でキャアキャア怖い怖いと騒いでいたと思う。

ホテルに着くとみんな絵の裏にお札がないか恐々確認していた。

夜になってから、今で言う陽キャな、
運動部でバリバリ活躍しているような男子部屋で事件は起こった。

中3男子が泣きながら引率の担任の部屋に駆け込んできた。

当時、

「修学旅行中は、テレビを使ってはいけない」

というルールがあったんだが、
その部屋ではルールを無視して
こっそり就寝時間にテレビをつけていたという。

ところが、
テレビが砂嵐になって調子が悪くなった。

困惑した男子たちは、
リモコンや電源ボタンを押したが、砂嵐が消えない。

困り果ててコンセントを抜いたが、
それでもまだザーーッと砂嵐の音。

怖くなって泣きながら部屋を出てきた、ということだった。

「あの部屋では寝られません」

と訴える彼らの言い分を聞いた先生は、
保健室だったのか、違う部屋に彼らを移動させた。

翌朝、この話は結構な騒ぎになったと記憶している。

修学旅行の終了後、
さらに不思議なことが起きた。

当時はデジカメがまだ普及していなくて、
みんな「写ルンです」で写真を撮っていた。

帰ってきてから現像して初めて写真が見られる。

学年フロアがちょっとした騒ぎになるくらいに
多くの写真にオーブが写っていた。

当時はUSOとか、
心霊特番も多かったから結構盛り上がっていた。

私の撮った写真も、
部屋で撮ったものは結構な数のオーブが写っていた。

が、その中に一枚不思議な写真があった。

それは海の見える窓を背景に、
同室の友達を撮った写真だった。

彼女の後ろに部屋のテーブルやブラウン管テレビが映っている。

そのテレビが、ついていた。

私たちはルールを守って旅行中はテレビをつけていない。

なのに、テレビ画面には確実に何かが映っている。

私は友達と一緒に、
テレビに何が映っているのかを必死で判読しようとした。

薄暗い、青い、グレーの、荒い画像。

海に見えた。

それを背景に、
鮮明ではないが何かが書いてある。

確かに、
文字のようなものが見えるのだが読み取れなかった。

額を寄せて友達と写真を検分している時、
ふと閃いた。

二文字、間が空いて三文字くらい‥、この並び、
「○年前の衝撃事件簿」みたいなやつでみたことがある、と。

大きな災害や事故があった時に、
テレビニュースで行方不明者や被害者の名前が
白抜きの字で画面いっぱいに並んでいる、あの画面。

それに似ていた。

その瞬間、バスガイドさんの
「たくさんの死体が」というあの言葉が頭の中をぐるぐると巡った。

私は、その写真が気持ち悪くて持っていたくないと言ったら、
その写真に写っていた子が

「面白いからもらうね」

と持って行ってくれた。

修学旅行の思い出より、
この写真の思い出の印象が強くて。

わかりにくかったらごめんなさい。

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