うちの先祖は天狗ということになってる。

一族の中でしかやらない先祖祭があって、
10年に1度当番がやってくる。

うちの番の時に、
先祖を祀ったほこらを開けたところ、
『大天狗明神』とあった。

一族発生の口伝もあり、
やはり先祖は天狗ということになっている。

胡散臭いこと限りなし。

氷澤から子檀嶺にかけて威を示した大天狗で、
人の女と子を成したのが発生だとか。

今風に解釈すれば、
修験道者とかサンカ、
山賊のたぐいかと。

一族の中には霊感ありそうなのはいないけどね。

だけど妙に山が好きな者が多い。

親族もそうだけど、
爺さんは山を3つ買い、
1年中山の中で炭焼きや砥石の産出。

親父は重装登山中毒。

俺は森林徘徊者で、
夜中もたまに山の中に入ってしまう。

山の中は妙に興奮するし、少し怖い。

夜はそれでも人が通れるくらいの道を歩くが、
月明かりを頼りに歩くのは好きだ。

風もなく不自然に静まりかえった夜や、
直近で物音がしたりするときんたまが縮む。

そんな感覚も凄く楽しい。

そして先祖の祠のある山、
あそこは凄く落ち着く。

ちょっと気分が沈んだときなどに行くと効果がある。

けど、親族の中で祠の山に行くのは俺だけらしい。

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