友達のU君の話。
1990年ぐらいのこと。
U君はその日珍しく残業した。
仕事を終えて、
南武線の最終電車に乗り込んだ。
U君のアパートは川崎方面なので、
車内には殆んど人が乗っていなかった。
椅子に座ると仕事の疲れから、
ついうとうととしてしまった。
そこで、ちょっとした夢を見た。
夢の中で彼はやはり電車に乗っているのだが、
その隣で子供が二人、楽しそうに話しているのだ。
「何人くらい?」
「うーん、7人でいいよ」
「全部で13人だよ」
「じゃあ、9人?」
U君は、
子供達が何かいたずらの相談をしているのだと、
なんとなく分かった。
「ひとりも駄目!」
U君はそう言うと、
はっと夢から覚めた。
そのとたん、
電車内の照明が一斉に消えた。
電車の高架線?が、
火花を撒き散らして踊っているのが見えた。
衝撃はあったけど、ドーンと言う感じではなく、
がたがた道を自転車で突っ走っているような感じだったそうだ。
脱線事故だった。
線路脇にある駐車場に突っ込み、
建物の手前で止まった。
幸い死者や重傷者はなく、
病院で手当てを受け、
そのあと警察から事情聴取を受けた。
後で聞くと、
その時電車に乗っていたのが、
運転手や車掌を含め13人だったそうだ。
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コメント
コメント一覧 (6)
脱線事故は、非常に嫌なことだ。
しかし、その一方で死者や重傷者がいなかったのは、せめてもの救いだったと思う。
もし、Uさんの夢に出てきた子供二人が、死神的な禍々しいモノだったとすれば、Uさんは最高だね!!
誰一人、命を奪われず、大きな怪我もさせなかったわけだから、まさに英雄だわ。Uさん。👍👍👍👍👍
死者が1人も出なくて良かった、〃〃。
死神とか悪霊とか、そういう類の存在だったのでしょうか?
短いながらも惹き込まれる文体で、楽しく拝読させていただきました。
五つ星をつけさせていただきます!!