今から20年ほど前の話です。
当時の私には5歳下の彼女がいまして、
少し離れた場所-遠距離とまでは言えませんが、
車で3時間ほど離れた場所に住んでおり、
仕事の忙しさも相まって会えるのは
月に1~2度という感じでした。
私の住んでる土地は
自然しか取り柄の無いような海辺の田舎町で、
都会っ子の彼女は
そんな素朴な田舎町の山や海で遊ぶのが大好きな子でした。
そんな彼女と付き合い始めて
初めての纏まった連休-お盆休みに起きた
不思議なお話です。
「お盆休みどうしよっか?」
「うーん、
ゆっくりと会えるんだし
キャンプとかしたいなー」
「海でバーベキューとか?」
「うんうん!そういうの好き!」
さて、彼女には
姉と歳の離れた小学生の弟が居まして、
付き合ってすぐに紹介されており、
どうせなら姉と弟、姉の彼氏も一緒に誘ってはどうか?
という私の提案に彼女も賛成してくれまして、
5人でキャンプをする事となりました。
「何処にしよっか?
少し遠出して○○海岸でも行く?」
「うーん・・
混んでるとこは嫌だしなぁ・・
そうだ!
○○君の家の近くの海にしない?」
「ええ・・あんな辺鄙なとこでいいの?」
「うん!
近くにコンビニもあるし、
銭湯もあったよね?
ばっちりじゃん!
雨になったら〇〇君ちに行けばいいし!」
海と言っても海水浴場ではなく、
釣り客がたまに来る程度でしたが、
昔は観光客を呼びこもうとしたのか、
海の家のような廃屋が幾つかある海岸に決まりました。
その後、
仕事に追われ幾日か過ぎ
てやっと迎えたお盆休み初日の朝、
彼女の兄弟と姉の彼氏を迎えに
彼女の町まで車を走らせました。
「晴れて良かったね!」
「僕、キャンプ楽しみにしてたんだ!
おにーちゃんありがとう!」
車中ではしゃぐ兄弟達と、
仕事疲れなのか、
そうでもない暗めな表情の姉彼と・・
そんな楽しい時間も過ぎ、
目的地の海に到着しました。
「わーーー海だーーー」
「きゃーーーーーつめたいーーーー」
「おおーーー」
はしゃぐ兄弟たちを眺めながら、
男性陣はテントを建てたり釜戸を作ったりと、
準備に勤しむ楽しい時間が過ぎていきました。
他にはそれらしい人は居らず、
時折漁師の車が通るくらいで
本当に静かな海辺でした。
やがて時間は過ぎ、
夕食のバーベーキューは
陽が落ち始めた頃となりました。
当時はまだ市販のバーベキューセットなどもあまり無く、
砂浜に石を積み上げたお手製の釜戸で、
なかなか火が起きず
アタフタしてる男性陣に割り箸を持ちながら
「はやくーーー」
という兄弟たち。
「このエビ美味しい!」
「焼肉も外で食べると格別だね!」
楽しい時間は過ぎ、日は完全に落ちて
真っ暗な中にバーベキューの火だけがゆらゆらと灯してる、
ゆったりとした時間が過ぎていきました。
ふっとトイレ-といっても
その辺でするしか無いのですが、
立ち上がろうとした時でした。
点在してる海の家らしい廃屋に
灯りが点っているのが見えたのです。
ただ、廃屋っぽくは見えますが、
実際は漁師が倉庫に使っていたりなど
人の出入りがある建物がある事も知っており、
普段は特に不思議には思う事でもないのですが、
ちょっと様子が違いました。
その廃屋には大きめの窓が有り、
数人の人間の顔が1本のロウソクを囲んでいるのが
遠目にも解りました。
不思議な事に
その顔の表情も見て取れるくらい
はっきりとしていたのです。
一瞬ゾクっとはしましたが、
あまりに鮮明に見えるので
「町の若い衆が
肝試しに百物語でもやってるのかな」
などと思いました。
-せっかくの楽しい時間だし、気にしないでおこう-
ちょっと離れた場所で用を足し、
みんなの所に戻りました。
「よし、花火やろっか」
「やったー!」
「花火花火!」
大量に買った花火をどんどん消化し、
わいわいと楽しんでる皆を横目に、
どうしてもさっきの廃屋が気になりチラ見をすると、
まださっきの状態のまま、
ロウソクを囲んでる幾人かの頭が見えました。
20m以上は離れていたと思うのですが、
何故か私にはその表情や目の向きなどが
はっきりと見て取れていました。
運転手の私は
もしもの時の為にお酒は飲んでおらず、
そういった意味での勘違いでも有りません。
とにかく、はっきりと見えたのです。
-ニヤっと笑いながら手招きをしてる男性の顔を-
「これはヤバイな・・・」
そう思った瞬間でした。
夕立にも似た激しい雨が振ってきたのです。
みんなテントに逃げ込み、
各々タオルを出して頭や身体を拭きました。
「うわー濡れちゃったね」
「うん、でもこれはこれで旅の思い出だよ!」
「うんうん!だよね!」
私は先ほどの廃屋の件がどうしても気にかかり、
雨だし帰ろうと促しましたが、
大丈夫大丈夫と寝袋の準備をしだす皆。
私も諦めて寝袋に入り、
いつしか眠りにつきました。
翌朝の早くに目が覚めた私は、
まだ寝息を立てている皆を置いて
テントから抜け出し、
昨日の廃屋を確認する事にしました。
外はもう明るいので恐怖などは無かったのですが、
近づくにつれ息が重くなるのを感じました。
昨夜、
あの顔が見えた窓際に立ち、
中を見ました。
-これは・・・どういう事だ・・-
そこには
部屋中にびっしりと詰め込まれた廃材や網、
とにかく天井まで届くくらいのゴミがいっぱいで、
とても人間が入れるスペースなど全く無かったのです。
そう大きくも無い建物の周囲を確認しましたが、
中へ入れるであろう戸には
固く留め木が打ち付けてありました。
-まぁ・・これでも旅の思い出か・・
彼女らには内緒にしておこう-
テントへ戻り、
大雨でバーベキューや花火の後片付けをしていると
皆が起きだし、
おはよ~とボーっとした声で
折りたたみの椅子に座り
「朝ごは~~ん~~」
と催促。
その後、
海で遊んだり釣をしたりと昼過ぎまで遊び、
姉と姉彼、弟を家まで送り届ける帰路につきました。
その車中は
楽しかったキャンプの話で
盛り上がりました。
「来年も行きたいね!」
「来年まで俺ら付き合っていれば・・ね」
「ひどーい」
「あはははは!」
「そういえば、
久しぶりにお爺ちゃんの顔見たね」
-ん?-
「うんうん、
あっち行っても楽しそうにやってるみたいだったね」
-何の話ししてるんだ?-
「しっかしさぁ、
孫の彼氏を見に来なくてもいいじゃん」
「だよねー」
「ちょ・・・お前ら何の話ししてるんだ・・?」
「あれ、〇〇君には見えなかった?
あの海さ、霊場なんだよ」
「え?え?」
「お盆で生前の家に帰る前に、
集まってたみたい」
「え?え?」
「私達が居るから
○○君にも視えたはずだけど・・・」
訳も判らず、
兄弟たちが話す会話に
ただただ驚愕してる私の肩を
ちょんちょんと叩く姉彼。
「この兄弟ね・・
なんかの末裔で視えるらしいのよ」
「えっと・・え?」
「大昔、霊を祓ったりする部族が居て、
その末裔らしい。
だから嫌だったんだ・・
こいつらとキャンプなんて・・・」
姉彼はこれまでも同じような場面に遭遇したようで、
姉が希望する旅先は、
どこそこの霊山だの廃墟だのといったものばかりで、
たまに普通の温泉地などを希望したときも、
その温泉地自体が火山の噴火で大勢が亡くなっており、
霊がうろうろしるなどと聞かされたり
怖い思いをしてきたらしいです。
恐恐と後ろの席に居る彼女をルームミラーで見ると、
「また来ようね!」
と何時もの可愛い笑顔・・・か?
姉と姉彼、弟を送った後、
俺と彼女は残りのお盆休みを消化すべく、
とある田舎町にある温泉街へ向かうのでした。
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このお話はこれで終わりです。
その後3年ほど彼女とお付き合いし、
怖い思いも何度かしました
が、別れた原因は至って普通の理由でした。
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コメント
コメント一覧 (41)
コメ欄が...って言ってたのも確かに分かるわ
なんか落語家気取りみたいなのとかが毎記事にいて単純に面白い記事でもコメ欄みるとスゲー冷める
承認制だから嘘松厨みたいなのは見なくていいんだけどほぼ全記事でやられると雰囲気ブチ壊しだよね...
まぁコメ欄見なければってのもその通りなんだけどいいサイトなだけに残念
浜辺で賑やかに楽しむ様子の方が印象深く、
なんだか一緒にキャンプに行ったような楽しい気分にさせて貰っちゃいました٩(๑^o^๑)۶
稲垣潤一
Memory Flickers
なんて知ってる人、いないよね。
歳がばれるし(笑)
そんな家系なら もっと明るく来てくれたらいいのにね☆
百物語らしきことしてる若者の話で思い出したんだけどさ、アレって視力を越えて良く見えるのは何故だろう?
オレも一度だけ夜の山中での休憩中になんやコイツ?ってのを見て車に戻ってΣ(Д゚;/)/となりましてね、まぁその時にも異常にはっきり見えてたわけでして
認知する脳の問題か感知する第六感的な問題かは知らんけど解明出来れば霊的な謎に1つ迫れるなーと思った次第です。
とても面白い話や読みやすいものが多いので、毎回読んでいますが、コメント欄を見ると文章力磨いてきて…!絵文字乱用で何書いてあるからわからない…!落語家か…!と思うので冷めちゃいます。
うちは旦那と5才差だ……ゾッとした。
そうですか?それも含めて面白く読ませてもらってますが・・・
自分なりに楽しめばいいんや。
嫌なら読まなきゃいい。勝手に読んどいて 文句言うな。だから嫌ならスクロール出来る様に コテハン名乗ってるんだって 暗黙のルールがあるんだよ。新参者が偉そうに アホなのか?
誰の言うことも聞かず、自分がここの絶対君主だと言って威張り散らし、コメントも激減、一部のコテハンの常連だけしか書き込みがなく、内輪で盛り上がっていた頃もあったからね。
こういうコメント欄でコテハンを使うと問題が起きやすいし、感想を書くところなのに勘違いしている人もいる。
ここは敵も仲間もない。
みんなが怖い話の感想を書くところで、頭の体操は自分のブログなどですべきでしょう。
場違いなことをしているということを認識して欲しい。
よく引き換えに(笑)さんを出すけど、彼は彼流のジョークで感想を書いていただけだし、頭の切れる人なので面白かった。
本文に関係ないわけのわからないギャグを書かれても不愉快なだけで、他人の嫌がることをするのはマナー違反では?
ここはみんなの自由な遊び場ではなく、怖い話の感想を書くところだよ。
話は熟読、コメントは好まぬものは見ません。
ただし、1に同感はしない。
読者は不特定多数。
どのコメにもアンチはいるんでね。
読まなきゃ内容がわからないわけだから、読んだから苦情が出るんでしょ。
どんなコメにもアンチはいるは正しいと思うけど、たくさんの人が不快に思っているから何回も何回も何年も同じ修羅場を繰り返して来た。
で、また新人さんが攻撃されて終わり。
これじゃ新人さんも可哀想だし、人が居着かないでしょ。
ここにいると慣れてしまって何とも思わなくなっちゃうけど、他のサイトから見たらここは異常だよ。
読んだことがある話でも、このサイトでは「どんなコメ付くかなー」と気になって読んじゃいますし、お気に入りの話が載ったりすると初めて読んだ時以上にワクワクしたりします。
私はコメ欄込みでこのサイトが好きです。
感性は人それぞれとは思うけど、このサイトはこのままでいてほしいな、と私は思います。
特に荒れてるわけでもないのに「異常」と評されるのは、良い意味で確立された個性だと思いますよ。(管理人さんがどう思っているかは知りませんが)
慣れれば某御方のコメは自然にスルー出来るようになりますよ。
気持ちに余裕があるときに読み返せば、結構面白いこと書いてんなこのオッサン、と思えることもあります。
※コメ欄での罵り合いはどのサイトで見かけても嫌な気持ちになります。スルー力を鍛えてください。
ここ、一定周期で同じこと繰り返してるよね。
新人さんかどうか知らないが、もう少し過去コメ読んで学習したらいいが、
そんな手間かけずに地雷踏んでるだけだろ。
読まなきゃ内容がわからないと言うのもおかしい。
リスクがあるなら、なぜコメ欄読むことにこだわるのか。
読者がどう思うかは自己責任で、書き込んだ人に問題はない。
ただ、明らかに指名して中傷するコメも存在はする。
しかし、ここで保証求めること自体が何か勘違いしてるよね。
よっぽど短いコメ以外は、途中で直感的に判断し、
読まないという選択が出来るはず。
名無し以外のコテハンなら、一定の傾向があるから余計そうだろ。
ここで誰かさんも自分も、批判のための批判という無駄な書き込みしてるわけだ。
毎日更新される他トピのコメ欄見たら分かるだろ。
全然変わってないのがね。それが現実だよ。
誰か知らないクレーマーに言われて変わる必要もないわけだが。
生きてりゃ色んな局面で忍耐強いられることは山ほどある。
例え趣味や娯楽で関わってる場合も例外ではない。
で、ここまで書いてまた反論やら批判が出てきても何ら不思議じゃない。
不特定多数の読者に文章晒すとは、そういうことだと認識してる。
あくまで、個人的見解に過ぎないが。
会員制でもないサイトでムリじゃね?
へそ吉さんみたいに、
作品の内容以外は基本的に干渉しない、
他者の※にはレスしないというスタイルが理想的かも。
苦情が来て当然なことをしているわけだから、せめて黙っていればいい。
もういい大人なんだし、真摯に受け止められないのかなぁ?
十分荒れてるよ、ここは。
最も出来た当初からこのサイトはコメ欄が酷かったけどね。
やっとまともになった頃に出て来たのが正明寺の副住職とビンボーマン、若禿げちゃんだね。
そこからコメ欄がおかしな方向になって来た。
なぜ感想を書くところでギャグ合戦をやらなければならないのか?
場違いなんだよね。
どうしてもやりたきゃ苦情が来ても当たり前なんだから黙ってなよ。
こういうまとめサイトはどこでもわざわざ名なしの仮名が準備されている。
感想を書くのに名乗る必要なんてないからだ。
コメにレスするなら番号がある。
コテハンをつけるなとは言わないが、どこのサイトでも少数が普通。
コテハン常連同士が馴れ合いになり、内輪ネタで盛り上がるのはどこでも嫌われるからね。
真也さんは注意されて気をつけるって答えてたよね。
コテハンしか書き込みがないサイトなんてここくらい。
TPOが無視されているのにおかしいと思わない人がいるってことがおかしいでしょ。
人をアホ呼ばわりする人ってそんなにお利口さんなのかな?
洒落なんて面白いことをたまに言うから受けるんだよ。
何言っても無駄だって(笑)
多分、好んでそういうスタイルとってんだから。
今日も🐴🐷と愉快な仲間たちは元気だよ。
さあ、どうする?
いい加減慣れた方がいいぞ。
※欄に影響されず、
「純粋に」作品を楽しむスペックを身につけてくれ。
目立つからって、叩くのは筋合い。
不満な人は、ここのサイト自分のためにあると思ってんの?
自由に書き込んで、掲載されたもの勝ちでしょ。
コテハンしか書き込みがない←まず、これ完全に誤りね。
名無しは常連か区別がつかないし、忘れた頃しかコメしない人もいる。自分もそうだが。
あと、他サイトと比べる必要ないでしょ。その基準がおかしい。
「洒落なんて面白いことをたまに言うから受けるんだよ。 」
→毎回欠かさずやって受ける方が難しいよね。
プロの芸人だって、それは難しい。
ましてや素人なら、自己満足の世界でやってるに過ぎない。
それくらい理解してやれないのかと思ってしまう。
そんなことは最近某変わった人が言い出したことでそんなルールはないよ。
第一本人が名乗ってないし。
世の中にはTPOという暗黙のルールがある。
いわゆる常識ってやつだ。
結婚式や葬式に普段着で行って周りを無視してドンチャン騒ぎしたら顰蹙を買うでしょ。
会議でもいいけど。
NETは社会の縮図だよ。
ここは悩みを相談したりギャグを書く場所ではないんだよ。
まとめサイトのコメ欄どこでも共通だ。
場をわきまえろという当たり前のことを言っている。
場違いだって何度も出てる。
後は本人の良心に期待するしかないだろう。
🐴🐷氏も自分で乱暴な言葉使いを反省したと前に書いてたよね。
いやしくも仏の教えを人に説く立場の人なら良心がないわけではあるまい。
せめて苦情に対する攻撃はやめて欲しいね。
あと、絵文字はガラケーの人には見えないからあまり使わない方がいいと思う。
🐴🐷ってハンドルにしても無記名にしか見えない。
武人さんは言葉遣いも丁寧になったし、毎回楽しいギャグを書いてくれて大変面白いと思います。
コメの是非や意義を真面目に考えんのめんどくせー。自身に実害ないんだからどーでもいーじゃん。そんなの(*^^*)
かなり代々修業を受けてきた家系じゃないこのレベルの話はなかなかないでしょ。楽しい
この子たちは修業を受けていないのかしら。まだ小さそうだし、これからって感じかしら。将来が楽しみ。
こんな家系なら霊力そのものはなくても、お札くらいは持たせてるだろうから、生半可な霊じゃ太刀打ちできないだろうから、安心ー。