5才のときの話。

私の家は平屋で古いです。

寝る部屋は暗くて、
親と一緒じゃないと居たくない部屋でした。

隣の部屋も同じです。

隣の部屋には大きな箪笥があり、
上はガラスの引き戸で、日本人形やクタっとなった人形やら、
色んな人形が入っている箪笥でした。

とても重くて、
子どもがよじ登っても大丈夫なものです。

夕方、母が布団を敷きにその部屋に行ったので、
お手伝いをしに兄といきました。

シーツを敷いたりするのが楽しくて、
兄と遊びながら手伝っていたのですが、
喧嘩になって私は泣いてしまいました。

お母さんが助けてくれると思ったのですが、
かまってられない様で布団敷きを兄と続行中。

泣いてると
「邪魔」と兄に敷きながら蹴られたりするので、
泣きながらお尻をズって下がっていきます。

面白くない私は、
そのまま隣の部屋でお母さんを見ながらギャン泣きしました。

お母さんに来て欲しかったのを憶えています。

ふすまを全開にしたままなので、
兄と母が良く見えます。

が、向こうは無視。

うるさすぎて兄に戸を閉められました。

箪笥の前で負けじと

「ぅわ~~~ん!!」

と泣くと、

「カタカタ、カタカタカタカタカタ」

と音がしました。

ビクっとして地震かと上を見ると、
人形のガラス戸から音がしていました。

そのまま見ていると、

「カタカタカタ、カタ・・・・」

と音がやみました。

地震じゃないし、
もう止まったからもう大丈夫!!
と思ってまた泣きました。

力を込めて

「おかあさ~~~ん!うわわわああああああんん!!!」

とわめくと隣の箪笥が、

「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!!!」

「ひっ!!!!!!」

今にも倒れんばかりに箪笥が前後に揺れ、
潰されるんじゃないかと思いました。

泣くのをやめ、ジッと見ていましたが
揺れが止まらず、怖くなったので母の元に逃げました。

「たんすが揺れた!たんすがすごい揺れた!」

と母に訴えましたが、

「そうなの~。気のせいでしょ。地震かもね^^」

と相手にされず、兄には

「寝ぼけてんの?夢でしょ」

とか言われ、こずかれ。

しつこく言うと

「うるさいから人形が怒ったんだ」

と言われ、納得してしまいました。

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