私が大学生のとき住んでいた部屋、
雰囲気が妙に悪かった。

日当たりは悪くないのに、
何処となく薄暗いような気がする。

いつもジメジメしていて…
なんとなく気分が鬱になるような。

当時は建物が安普請だからかなあ…
と思っていたのだけれど……。

同じ敷地内に住んでいる大家さんの息子さんは、
心を酷く病んでいる人だった。

極度の妄想癖と病的な躁状態。

彼は僕が入居してから半年後に精神病院に入院。

さらに一年後退院されたときには、
見違えるほど回復していた。

すっかり常識人みたいな物腰、
話すこともまともだし、
15歳は若返ったみたい…。

他人事ながら、
良かったなあと思っていた。

…ところが恐ろしいことに、
たった2日ほどでもとの木阿弥になってしまった。

薬が切れたから…?

それにしても酷い変わりようだった。

彼は合い鍵を持っていたので、
少し身の危険を感じないこともなかった。

夜中、突然ドアを開けて入ってくることがあったので。
(…彼の『発明』についての話を、長々と聞かされたりするのです…)

さっさと引っ越せば良かったのに、
入居しているときは
何故かそこを離れてはいけない理由をいろいろ思いついて、
なかなか転居することができなかった。

今思うと不思議なのだけれど…。

結局、2年半そこに住み続けた。

路地の奥まった場所、行き止まり。

生い茂る緑に建物はほとんど隠されていて、
通行人からはほとんど見えない白い木造建築。

友人以外の不意の来客、セールスなどは、
ただの一度も訪ねてくることが無かったです。

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