10年前、マンションで一人暮らししてた時の話ね。

大学に行くいつもの電車の途中でケータイが無かったから、
どっかに置き忘れたのかと思って、
朝起きてからの行動をひとつひとつ思い出してたら、
ふと変な記憶がある事に気づいた。

――玄関を出るときに、廊下の奥、部屋のドアの前に女がいた???

変だなと思って、
その前後何してたかを考えたんだけど、
玄関で屈んで、靴を履いて、立って、
ドアノブに手をやってちょっと後ろを振り返る、

その瞬間に確かに『女を見た』という記憶があるんだよ。

でも、
何事も無かったようにオレはその後ドアを開けて、
鍵を閉めてたんだよ。

その時は本当になにも思わなかった。

明らかにありえないシチュエーションなのに。

女の服装もはっきり覚えてた。

赤いブラウスとスカートで、
髪は黒くて長くて、裸足だった。

でも、肝心の女の顔がぜんぜん思い出せないんだよな。

なんかぼかしが掛かったみたいで。

訳わかんなくて微妙に背筋が寒くなった。

その日はその事ばっかり考えて、
家に帰るのが怖かったと思うんだけど、
家に帰っても何も起こらなかった。

これだけ。

別になにも現象は起きてないんだけど、
気づいた時はめちゃくちゃ怖かった。

ケータイがどうなったか覚えてない。

いまいち上手く説明できなくてスマン。

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