子供のころ読んだ昔話

ある猟師が山に入った。

猪を待って身を潜めていると、
目の前に一匹の蜘蛛がいた。

そこへ蛙がやってきて蜘蛛を食べた。

蛙は跳ねていった。

そこへ蛇がやってきて蛙を呑んだ。

蛇は這っていった。

すると、
どこからか大きな猪がやってきて蛇を喰った。

猟師はしめたと思い、
猪に鉄砲の狙いを定めた。

しかし、ここでふと考えた。

「蜘蛛は蛙に喰われ、
蛙は蛇に喰われ、
蛇は猪に喰われた。
その猪を撃ったら、俺はどうなるんだろう」

気味が悪くなった猟師は鉄砲を下ろした。

そのとき、
山中に響きわたるような大きな声がした。

「撃たなくてよかったな!」

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