徳島の田舎。
当時10歳の私と祖母は、
山菜取りに山の中に行った。
よく晴れた気持ちのいい日だった。
小休憩の間に林の中をうろうろしていると、
少し開けた草むらに、
私は2,3件からなるバラックの集落を見付けた。
妙な気配に振り向くと、男が三人、
近くの茂みの暗がりからじっとこちらを見つめている。
身長はでこぼこだが、
三人とも小太りで目が大きく丸刈りと、
驚くほど似ていた。
そして男たちは、
頬を風船のようにふくらませ、
顔を真っ赤にしながら、
こちらに向かって必死に息を吹きかけ始めた。
私は恐ろしくなり、
大声で泣いた。
大声で泣き続ける私。
男たちは、
ふー!ふー!を息を吹き付けながらも、
今や茂みを出てじりじりとこちらに寄る。
その時、
私は背後から何かに顔を掴まれた。
祖母であった。
「息、止めれ!」
と私に言う。
止めようにも、
祖母に右手で口、左手で鼻をつままれた私は窒息寸前。
ヘッドロックの様な体勢のまま、
祖母は私を引きずりながら駆け出した。
山道に出て、
祖母は私のホールドを解くと、
ぺたんと座り込み泣きだす。
「あの人たちはなァ、可哀相なんだぁ…」
と言いながら。
家に戻って私が祖父にその話をすると、
祖父は祖母を力一杯殴りつけた。
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コメント
コメント一覧 (20)
それにしては息を止める必要が分かりませんが。
その土地独特の風習で関わりが閉ざされていたとか、そういう感じですかね。
察するに、近親婚によって生まれた「表に出せない」子供たちを隔離していたのだろうが、幼い孫に聞かせられる話ではないので殴ってでも話出さないようにしたのだろうが、理不尽極まる。
トピ主は男達の正体や祖母が殴られた理由は教えてもらえなかったのかな・・
と~っても気になる。
自分同様、気持ちが消化不良を起こしてる人も結構いると思う。
なんで爺さんは婆さん殴ったん?
確かにお祖母さんの仰る通り可哀相・・・
それにしても、孫可愛さとは言え、お祖父さん力一杯はやり過ぎだろうに。
四国は好きなんだが山奥と漁師町は粗野なところがあるからちょっと怖い。
誰か解説して欲しい。
危険人物たちと出くわして、孫を危険な目に遭わせた事に怒ってのことでしょうか?
地元では禁足地扱いされた所に不用意に踏み入れたからだろう。
昔近所に、近親婚で親子三代男女みな同じ顔、知的障害持ち、集落民も近づかなかった家があったな。
息を吸うと病原菌が移るなど差別してた祖母を祖父が殴ったんじゃないかな
差別はするなって感じで
全部想像だけど
徳島路太利って調べると色々でてくる。
「息を吹きかける」←小さい子どもにうつして差別の報復的な。
だからそういう場所に孫を連れて行くなと祖父が激怒したんだろうね。
実話か啓蒙のための作り話かわからないけど、そういう内容の話をしたかったんだと思う。