今から30年以上前、
俺が小学生だった頃の話。

小学1年になった時、
入学した小学校に体育館が新築された。

地元の婦人会とPTA合同のママさんバレーのクラブも結成され、
体育館は放課後もフル稼働だった。

んなもんで、俺が6年生になる頃には、
授業やママさんバレーで打ち上げてしまったボールが、
天井板に5~6個挟まって取れなくなっていた。

体育館の天井は放熱の為か波状になっていて、
勢い良く当たったボールがすっぽり挟まってしまうのだ。

もちろん、脚立なんかで届く高さではなく、
専門業者を呼ばなければならないので放置してあった。

ある時、
雨が降って急遽体育館を使う事になった日、
授業が始まる少し前に、
クラスでお調子者だったF君が、

「俺、超能力があるんだ」

と言い出し、
ニヤニヤしながら右手の掌を一杯に広げて、
天井に向け

「はぁーーーーーっ!キェェェェッ!」

っと気合を入れて突き上げた。

上を見ると、
例の天井に挟まったバレーボール…

F君が念力で
ボールを天井に押し付けてると言う事らしい。

その場に居たクラスの連中は大笑い。

ところが、
突然体育館のブレーカーが落ちて照明が消え、
薄暗い中、バタバタと体育館の床に何かブチ当てられる音が響いた。

先生がやって来て配電盤のスイッチを入れるまで、
皆出入口まで逃げていた。

音の正体はバレーボール。

天井に挟まっていたボールが
その時全て床に転がっていた。

もちろんF君の超能力とかではない、
当のF君本人は半べそかいていた。

偶然ブレーカーが落ちて、
偶然ボールが落ちたのだろうか?

一度に全部?

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