これからする話も霊感のある友人と飲んだ時の話。

これは去年の秋口の話だったはず。

その時は前回に続けて
連続で友人の家に飲みにお邪魔した。

今回は事前に泊めてもらうよう
友人の家族に許可を取った上での話だったので、
夕食を頂いた後、
ゆっくり二人だけでリビングを占領して酒を飲んでいた。

前回のカミングアウト以降、
二人の共通の話題は、
大学、恋愛、雑談、に加えて心霊のカテゴリーが追加されていて、
お互い(友人がほとんど)の心霊体験を語っていた。

夜も更けて、
十二時を過ぎたあたりに、
友人が

「暑いから外で涼まないか?」

と言ってきた。

秋口とはいえまだ暑い夜が続いていたため、
二人して玄関を出てすぐ近くのベンチに座った。

ここから位置関係が重要になってくるので、
箇条書きにして書く。


・二人はベンチに座っており、
俺の左隣りに友人が座っている。

・友人の向こう側、
三メートル離れた場所に、
軽自動車が頭を向けて駐車してある。

・右には二メートル離れて玄関、
明かりが洩れてきている。

・後ろは壁。

・前は二メートルほど離れて壁がある。


こんな位置関係で、
夜風で涼みながら他愛もない話を二人でしていた。

ふと友人の話に相槌を打ちながら、
何か違和感を感じた。

視線、というのが
一番近いのかも知れない。

例えるなら、
目の前でステージで使うような大型のスポットライトを
顔面に照らされているような強烈な違和感。

その違和感は、
自分の右前の地面、左前の地面、
そして友人を飛び越した左側の計三か所。

その無視しようにもしきれないような
強烈な違和感を感じる場所を、
右前→左前→左と振り向くように一度に見てみた。

当然、地面があるだけで何もないが、
最後の左。

友人の向こう側にある車を正面から見たとき、
フロントガラスの奥、座席の頭当ての間に、
白い物がスッと横切った。

「……気のせいか」

と俺がボソッっと言っても友人は気にせず話し続け、
俺もガラスの照り返しだろうと考えて、
そのまま友人の話に相槌を返した。

それから五分も喋らないうちに、
友人が俺の話題をさえぎり、

「いや~寒いね、さっさと中に入るか」

「え…?なんで?」

「いや寒いから入るよ」

と、若干ひきつったような笑いをしながら、
有無を言わさない力で俺を玄関へと引っ張ろうとする。

その時点で俺もさすがに気がついた。

「いや、やっぱり寒いから中に入るわ、俺も」

「だよな~」

みたいに、
白々しい会話をしながら速効で家の中へ。

家の中に入ってすぐに友人が玄関のカギを閉め、
玄関が見える窓にブラインドを下ろした。

その行動で俺の予想が確信に変わった。

「お前、何見た?」

「車の後ろになんか見えた」

友人の言うところによると、俺が

「…気のせいか」

とつぶやいたのが気になり、
車をたまにチラチラ見ていると、
黒い球体のようなものがスッと横切ったらしい。

それに俺も驚いて、
自分が見たものを説明し、
そして気がついた事があった。

ガラスの照り返しのように見えたが、
光源は一つ、家の方しかない。

つまり、照り返しが起こりようがない。

そして、よくよく思い出すと、
人間の方から上のシルエットによく似ていた。

二人が見たものの違いは、
白い物か黒い球体だけで後はほぼ一致していた。

しかも友人が最後に余計なひと言。

「アレ、今年の夏に見た奴によく似てるんだが…」

二人でまたもやガクブル。

逃げ道がなく、
一時間ほど話して就寝。

そしてまたもや後日談。

この体験の後、
友人とこの事について話す機会があった。

紙にお互いが見たものを書いて比べたところ、
笑うくらい合致して自棄で笑っていたら、
友人がまたいらない一言。

「お前さ、亡くなったのがおばあちゃんって言ってたじゃん?」

「まぁ、母親に聞いたらそう答えが返ってきたけどね」

「アレ聞いたときに納得したよ。
俺らが見たものの高さって、
ちょうど、お婆ちゃんくらいの頭の高さじゃね?」

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