夜釣りがいいと聞いたので、
バイクに乗って東京の東のはずれにある有名なダム湖へ。

かなり上流にかかっていた大きめの橋の橋詰にバイクを止めて、
湖面近くまで降りられる道を探す。

何とか降りられそうな踏み跡を見つけたので、
用心しながら降りてみると、
水面に沿うように古そうな遊歩道らしき道がついていた。

利用者が少ないのかかなり荒れ気味の細道であったが、
ポイントを探すために奥へ進もうとすると、暗闇の中に人影が・・・

先客の釣り人かな?と思ったが、
細い道の真ん中に突っ立っているのですれ違えない。

近くまで寄っていけばお互いに身をカワしあうだろうと思って近づくと、
その男はスーツ姿で全身びしょ濡れであった。

ギョッとしてしばらく向かい合ったが、
恐ろしくなって引き返した。

こんな時間に、こんな場所で、
あんな様子は普通じゃない。

そう思うと急に怖くなって振り向いたが、
人影はもういなくなっていた。

振り向くまでに少し時間があったので、
立ち去ったと言えばそうかも知れないが、いったいどこへ?

この話を周辺の地理に詳しい友人に話すと、
その橋からはしばしば人が飛び込むことがあるのだとか・・・

飛び込んで、死なずに岸まで泳ぎ着いた人かも知れない。

もしかしたら、
飛び込んで死んでしまった人なのかも知れない。

どちらにせよ、
声をかけることもできないほど怖かった。

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