中1のとき、
夏休みに入った直後のある日曜、
友人の家に行った。

二人でげらげら笑いながらふざけあっていると、
いきなり怒鳴られた。

「うるさい!
いらいらさせるんじゃない!外で遊べ!」

友人の父親だった。

しかたなく外に出る…

いや、私は帰ることにした。

「ごめんな、なぜかおとうさん最近機嫌悪いんだ」

と謝る友人。

翌日、新聞の片隅には、
友人の父親が殺人で逮捕されたことが報じられていた。

数日前に、金銭上のトラブルで、
知人の喉をカッターで切り裂いたらしい。

そういえば、
帰る途中にパトカーとすれ違ったのを思い出した。

普段見かける時と違い、
えらく物々しい感じだった。

そういうことだったのだ。

機嫌の悪い原因を理解すると同時に、
殺人者の心理というものを垣間見た思いがした。

友人一家はどこへともなく引っ越した。

私も友人とはあれを最後に会っていない。

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