私が小6の時の夏休み、
薄暗い明け方のこと。

私はその日眠れずにいて、
テレビをボーッと眺めていた。

すると突然、
外から笛の音が聞こえてきた。

こんな朝早くになんだろうと思い外を見ると、
白い着物を着たガリガリの髪の長い女が、
家の前の道を歩いていた。

女はしばらくこっちを見ていたが、
また道を歩きだした。

そして私がまたテレビに目をやったその瞬間、
階段をトン…トン…と上ってくる音がした。

その時私の部屋は二階で、
扉が少し開いていた。

私は不気味な気配にビビリ、
布団に潜って布団の隙間から様子を見ていた。

しかし、しばらくしても何も来ないので、
相当ビビって、隣にある母親の寝室に逃げ込んだ。

入ったその瞬間、私は呆然とした。

その部屋は真っ暗で、
奥の方で首を吊って天井からぶら下がっている、
母親の影が見えた。

私は何もできず、
それをしばらく眺めていた。

すると耳の奥底で、

「生きてて楽しい?」

という女の声がした。

母は次の日、
普通に起きて仕事に行ったし、
今も生きてる。

でも、母はその日から1ヵ月くらいで、
20キロも痩せるという異常な痩せ方をした。

今から十年ほど前の事です。

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