私が中3の頃の話。

その時学年全体から無視されたり
罵詈雑言を浴びせられたりして、
ドラマでありがちな悪戯はされなかったけど、
それはそれで結構キツかったのね。

何も食べられなくなって、
(神経性胃炎?かなんか言われた)
ブドウ糖が足りないとかどうとかで、
毎週病院に通ってた。

両親が

「調子が良くなったらでいいから」

って学校を休ませてくれてたからまだマシだったけれど、
夜な夜な居間で、私の進路等について
ケンカしてた両親の声が聞こえてきて、

「あぁ、自分は親不孝者だな」

なんて自分が嫌になって泣いてた。

自殺した方がいいかな?位は考えてたかも。

んで、その頃位から、
私の部屋に私以外の誰かが居る様な気配があった。

ホント何となくなんだけど、居る。

不思議ではあったけど、
姿も形も見えなかったから、怖いとかは思わなかった。

よく分かんないけど。

同じ時期に母親から、

「アンタの部屋には入りたくない。気持ち悪い」

ってしょっちゅう言われてた。

ただ単に汚かったからっていうのもあるだろうけど、
家族も決して私の部屋に入ろうとはしなかった。

それから少しして、
ただの気配でしかなかったのが、
日が経つにつれて段々と見えるように、
聞こえるようになってきた。

炊事場で作業していると、
後ろに黒いペンキで塗り潰されたように
真っ黒い小さな女の子が立っていたり、
風呂場で歌を歌ってたら「うるさい!」って、
聞き覚えのないおじさんの声で怒鳴られた事もあった。

1回マジでビビったのは、
ふと自室で独り言呟いたら返事が返ってきた時。

勿論家族じゃない。

部屋を見渡しても誰が居るはずもなく、
その時は素直に部屋を出た。

あーこれはヤバいかもなー、と思いつつ、
部屋でドラクエ8をプレイする日々。

主人公が人間と竜のハーフだと知った時は
邪気眼が疼いた。

そんなある日。

久々に体調が良くて登校した直後、
同級生から大分酷い事を言われた。

何か存在を否定する様な言葉だったと思う。

その時は本当に悲しくて、
机に置いた鞄持ち直して逃げるように家に帰った。

家に帰って部屋に戻ってから、
もう無茶苦茶に部屋を荒らした。

ジャンプをビリビリに破ったり、壁を殴ったり。

感情のままに暴れに暴れた。

今まで泣くだけだったから、
何となく清々しい気持ちになったのを覚えてる。

その時だった。

ちぎっていたジャンプを投げようと振りかぶった瞬間、
ヒヤッとした物を掴んだ。

細くてプニプニしてて感触は、
自分と同じ指みたいなのに嫌に冷たい物。

最初は電気の紐(電源をON/OFF出来る奴)かな?と思ったけど、
よくよく考えたら、自分が今居る場所からは離れてたし、
高さがある為届くはずがなかった。

それに、私が掴んだんじゃなくて、
“伸びてきた指をたまたま掴んだ”みたいな感じだった。

これは何なんだ?

私に何をするつもりなんだ?

今までの現象とかが一瞬でフラッシュバックして、
慌てて掴んでた指を離した。

一時心臓を落ち着かせ、
意を決して“何か”が居たはずの後ろを振り返ったけど、
誰も居なかった。

安堵で馬鹿みたいに汗が吹き出したよ。

暫くして、
近所で有名だった霊媒師のAさんの家を尋ねた。

私の話を聞いてただ事ではないと思った父親が、
Aさんにお祓いを頼んでくれたらしかった。

幽霊らしき物・現象を体感していながら、
私はそんなオカルトチックな物を信じてなかったから、
('A`)みたいな感じだった。

んで、
いざAさん宅に入ろうとした瞬間、
体が動かなくなった。

いや、離れようとしてたが正しいかも。

気持ちが悪くて、
何が何でもこの家には入りたくない、みたいな。

私の意志とは裏腹に体は後退りしていって、
前(Aさん)が見れなかった。

その時「あぁやっぱりね」って
Aさんが言ったのを今でも強烈に覚えてる。

Aさん曰く、

「電話を貰った時から、
貴方が取り憑かれているのが分かった。
今気分が悪いのも、
貴方の中の霊達が私を怖がっているから」

だって。

もう色々と訳が分かんなかった。

何で電話越しに分かったのかとか、
何故私に霊が取り憑かれてると言うのかとか。

それに何で、
Aさんの声を聞くと涙が止まらないのか、とか。

泣きたくもないのに涙がダーダー流れてきて、
私も、同伴してくれてた母と妹も顔を合わせて笑った。

本当に訳が分からなかったなぁ。

涙は10分位止まらなかった。

まぁ話をまとめると、

・体質的に霊を集めやすく入りやすいみたいで、
落ち込んでいたり病んでいたりすると、
その気に吸い寄せられてきちゃう。

・家の周りに霊が溜まりやすい。

・特に私の部屋は霊の通り道で、あの“指”らしき物は、
これ以上道を通りにくくしてほしくなかったから、
私を止めようとしていたらしい。

…だってさ。

その間に、
Aさんは教えてもいない私の現状とか心情とか、
部屋の汚さをペラペラ喋ってた。

怖かった。本当怖かった。

押し入れに入ってる物とかピタリと当てられた。

どうもウチの家系というか、
霊を見たり呼び寄せたり出来るみたい。

そういえば母親の方の叔母は、
人間のオーラが見えたり、
念じれば怪我をさせたり出来るとか言ってた。

それから私はAさんの言う通り、
部屋を綺麗にして、なるべく明るく、
前向きに生きていく事にした。

イジメはなくならなかったけど、
幽霊とか、そういう物には遭遇しなかっただけでもマシかな。

今は嘘みたいに平和に暮らしてるよ。

あれからAさんとは音信不通になってしまったけれど、
きっと元気に過ごされていると願ってる。

Aさん有難う。

後日、また部屋を散らかして、
今度は妹が酷い目に遭ったのは内緒だ。

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