昔は手漕ぎの船(帆付き)で
沖に漕ぎだして漁を行っていました。
その日もその漁民は沖に漕ぎだして漁をしていました。
波は低く穏やかな日でした。
彼は釣り糸の様子を見ていましたが、
突然視界を横切るものがあり驚きました。
それは、泳いでいる人。
男か女かわかりませんが、
裸の人間が船の下をくぐって泳いで行ったのです。
そこは海岸からかなり離れた沖合なので、
人が泳いでくるのは珍しい、
というかありえない。
近くに他の船もいない。
唖然として見ていると、
さらに驚くことが。
船の前後をたくさんの人間が泳いでいきます。
みんな沖合に向かって同じ方向に泳いでいったそうです。
その時に見た『泳ぐ人』は、
20人以上はいたということです。
櫓で海面を叩いて気づかせようとしましたが、
漁師は怖くなりました。
この人数の人間が自分の船にかきついてきたら大変なことになる、
と考えたからです。
彼は船に座りこんで、
泳ぎ去る人間たちを見ないようにして、
また、彼らに見られないように祈りながら、
その場をやり過ごしました。
色の白い人たちだったそうです。
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