私は旅行が趣味である。

国内外を問わず数多くの場所を訪れた。

そんな私が島根県の津和野で経験した話です。

津和野は山陰の小京都と言われるだけあって、
街並みが非常に趣深くどこかミステリアスな雰囲気が漂っていた。

私はそんな津和野の街に魅せられ
夢中になって一眼レフカメラで風景写真を撮っていた。

古い建物が並んだ通りに教会があったりして
和と洋のコントラストが程よく調和していた。

殿様通りを流れる用水路には
丸々と太った鯉たちが泳いでいてそれもまた美しかった。

私は津和野で一番有名な神社に立ち寄ることにした。

その神社の参道は真っ赤な鳥居が幾重にも連なっていて
素晴らしい景観を織り成していた。

私はその風景を写真に収めたいと思い
一眼レフを向けシャッターのボタンを押した。

だが、何度ボタンを押してもシャッターを切れない。

先程までは普通に使えていた一眼レフが故障でもしたと言うのか。

私は不審に思った。

その時、ある考えが私の脳裏をよぎった。

津和野に降り立ったときから
私はこの土地に何か言いようのないパワーのようなものを感じていた。

五感では感じ取ることが出来ない力がここにはある。

その力が何らかの作用を
この一眼レフに及ぼしているのではないか。

そのような確信が私にはあった。

ましてや私が今いるのは神社の参道である。

そして、私はこの津和野と言う土地に
一種の畏怖の念を抱くのであった。

そんな折、
私は一眼レフの液晶画面に目を落とし
驚愕を禁じ得なかった。


液晶画面にはこうあった。

「SDカードの空き容量が不足しています」

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