先日、知り合いの同業者が、
元請と共に物件の下見をしたそうです。

室内を見ると人形がポツンと置いてあり、
彼は人形の処分が面倒だと思いました。

すると、後からついてきた元請が、
人形を食い入るように見始めたのです。

彼も一緒に人形を眺めていましたが、
あまりにも元請が吸い込まれるように見つめるので、

「気に入ったのなら持って行かれててはどうです?」

と問い掛けてみました。

すると、元請が一言。

「こ、これ死体だ…!」

その瞬間、
彼はうわあぁぁぁ状態で、
一目散に飛び出しました。

しかし、
元請はいつまで経っても出て来ません。

引き返すと死体の前で腰を抜かしていました。

亡くなった方はその家の以前の持ち主であり若い女性、
精神を病んでいらっしゃったようです。

それが死因に繋がったのだと、
不可解な説明をしていました。

しかも、
彼女の知らない間にその家は売却されていて、
それでも家に住み続け、最近亡くなったようです。

言われてみれば、
老人の人形と思っていた死体の顔は黒ずんでいて、
室内も軽くツンと臭っていたと語っていました。

等身大の老婆の人形を見て
不思議に思わない方もどうかしていますが。

ここで一番困るのは元請ですね。

家が売られた経緯を考えても、
亡くなった女性の想いが残っていそうですし、
死体が出てしまっていますから。


後日談。

同業者さんは、
重要参考人として未だ警察に引っ張られているそうです。

結局、現場の人間には事実を語ること無く作業をしてもらいました。

しかし作業員の数人が、

「ここは雰囲気が変だ。絶対何かあったはずだ」

と異変を訴えていたそうです。

以前、私の父もオペレーターと共に現場の下見に行った時、
生温い風が顔に迫って来るような感触を受けたと言っておりました。

霊感の全くない父は、

「変な風が吹く日だなぁ」

としか思っていませんでした。

しかし、霊感の強いオペは

「あの松で絶対になにかあった!」

と庭の松を指差して騒ぎ出し、

「私よう近づけませんわ。
社長さん、ここで何があったか近所に聞くべきです」

と言って仕事になりません。

父はまさかと思いつつ隣の家を尋ね、

「誠に失礼なのですが、
以前、隣で何かあったでしょうか?」

と聞いたところ、
オバチャンは目を丸くして、

「あらアナタ何も聞いてらっしゃらないの!?
…実は隣の家主さん、そこの松の木で首吊りなさったのよぉ」

急遽、お払いが執り行われたそうです。

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