この話は、
母の叔母にあたる人のご主人さんの話です。

母の村からは少し離れた山よりの集落に夫婦で住んでいて、
母が兄弟姉妹らと連れ立って遊びに行っても嫌な顔ひとつする事もなく、
妻方の子供たちを歓迎してくれたそうです。

その叔父さんが畑の帰りに、
狐の巣穴を見つけました。

中では子育て中らしく、
子狐がいる様子でした。

そっとしておこうと、
あまり巣穴に近づく事もしなかったそうです。

ある日、巣穴の近くまで来たとき、
巣穴の前で火を炊いて煙で中を燻っているのを見つけたそうです。

慌てて火を消して助けようとしたのですが間に合わず、
巣穴の中の母狐も子狐ももう死んでしまっていました。

叔父さんは不憫に思い、
葬ってやったそうです。

それから、
叔父さんの周りで異変が起こるようになりました。

なんと狐は、
叔父さんに憑いてしまったんです。

しかも、
気の毒に思い埋葬してやった叔父さんを、
自分たちを燻り殺した犯人だと思って憑いているようでした。

叔父さんが家族で食事をしていると、
叔父さんの側の障子からズボッと突然狐の手が出てきたり、
どーんと家が震える位の家鳴なりがした後に、障子に狐の影が映ったり、
突然何もないところから狐の鳴き声が聞こえたり、
という事が起こり始めたそうです。

その話を聞いた時は、
その叔父さんのお葬式の時で、

「最後まで狐に憑かれてねぇ…」

と、母や親戚の人達が話をしていました。

お葬式でも何かあったようですが、
私もその当時は小さく、母も亡くなったので、
何があったのかは今になってはわかりません。

もう少ししっかり聞いておけば良かったと悔やまれます。

叔父さんも家族も、
度々起こる怪奇現象に悩まされたそうですが、
特に家運が傾いたり、
家族が早死にしたりという特別不吉な事はなく、
あくまで叔父さん個人限定で憑いていたようです。

叔父さんは長生きでした。

助けるつもりでした事が勘違いされて恨まれるなんて、
子供心に腑に落ちない気持ちになったのを思い出します。

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